夏。プールや海で足の裏を見られてしまう季節。かかとのひび割れやささくれが恥ずかしいアナタ。ひょっとしたら体の重さがかかとの肌荒れの原因かもしませんヨ。
スキンケアと美容機器の「ナリス化粧品」の研究チームが、かかとが荒れている人は体重が重い傾向にあることを突きとめ、2017年7月末、大阪市で開かれた日本美容皮膚科学会で発表した。
ひび割れの人はスベスベの人より6キロ重い
J-CASTヘルスケアの取材に応じたナリス化粧品研究開発部の浅井咲子さんによると、以前から、体重の重い人はかかとに荷重がかかり、肌の表面の角層が分厚くなることが肌荒れを誘発しているのではないかという仮説を持っていたという。今回、かかとの肌荒れのメカニズムを確かめるために、一般から公募した男女15人のかかとの肌の状態を調べた。
15人中5人の男女が、かかとに「ひび割れ」「粉吹き」「ささくれ」があり、「かかとが荒れている」グループに分類された。また、5人の男女が、かかとがスベスベとなめらかで、「かかとが荒れていない」グループに。残りの5人の男女は微妙な「中間」グループとなり、研究対象からはずされた。「荒れている」人と「荒れていない」人の体重を測ると、それぞれ平均が「57.5キロ」と「51.1キロ」だった。「荒れている」人の方が6.4キロ重かったのだ。
期せずして「体重の重さが肌荒れを誘引する」という仮説に近づいたわけだ。そこで、実験によって確認することにした。肌の研究分野では、皮膚の三次元人体モデルが使われる。人間の皮膚を培養して幾層にも積み重ね、実際の皮膚に近づけたものだ。このモデルに様々な刺激を与えて反応を調べることで、人間の皮膚にどんな影響を与えるか知ることができる。浅井さんらはこのモデルに、4.3グラムの重りで1日30分荷重をかけることを5日間続けた。そして、モデルを分析して重りを乗せない通常のモデルと比較した。すると、重さが「遺伝子レベル」と「肌の角層」の2つの面で、肌荒れの原因につながることがわかったという。
遺伝子レベルと皮膚の表面で2つの変化
浅井さんが語る。
「肌の奥ではたえず新しい皮膚細胞が作られて表面に送られ、古い皮膚細胞を押し上げて捨てています。これが肌の生まれ変わりです。この生まれ変わりに関係する遺伝子が、荷重によって増えることがわかりました。その増え方のバランスが悪いので、一部の皮膚が厚くなったり、薄くなったりして、生まれ変わりがスムーズにいかなくなります」
そして、皮膚の表面ではこんな現象が起こる。
「そのため皮膚の角層が乱れてデコボコ状態になります。古い細胞のゴミが詰まったような状態になるのです」
そのため、ひび割れや粉吹きが起こるという。
となると、かかとの肌荒れを防ぐには、やはりやせた方がいいのだろうか。浅井さんはこう語った。
「まだ、そう言い切ることはできません。これから体重の重さが遺伝子を変化させるメカニズムの解明を進めたいと思います」