行きたい病院を自分で選べないなんて 複雑すぎ!米国の医療保険の裏側

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保険料は年々値上がり、住む場所によっても変わる

   主治医の紹介なしで専門医を受診できるPPO(Preferred Provider Organization)プランは、便利ですが、医者や病院をネットワーク内から選ばないと、自己負担額が高くなります。PPOネットワークに加入している医者や病院の数は多いので、選択肢は広がります。ただその医者が人気の場合、すぐに予約をとるのは難しいです。

   我が家は2016年春、主人の転職にともない加入保険をPPOからHMOに変えました。

   専門医にすぐに診てもらえる便利さやネットワークの広さを考えるとPPOがいいのですが、月額保険料がHMOより高い。主人の新しい会社は医療保険加入の際、PPOプランも提示してくれましたが、その場合だと、毎月の世帯医療費は730ドル(約8万1000円)。通院ごとの自己負担金は15ドル(1660円)でした。医者が選べるという利点から2001年の渡米以来、ずっとPPOに加入していましたが、その金額が毎年のように値上がりしますし、医療保険の内容もどんどん変わっていくので、頻繁に加入保険を見直していました。

   毎月の医療保険料は、加入者の年齢、希望する医療内容(たとえば出産保険を付けるとか)、自分で払う医療保険の限度額の設定金額でも変わってきます。

   上記の2つのプラン以外に、EPO(Exclusive Provider Organization)があります。これは医師や病院をネットワーク内から好きに選べますが、ネットワーク外を使用すると、緊急時以外は保険が適用されません。ネットワーク外から選べないという意味ではPPOより不便です。評判のいい医者はPRしなくても患者が来るので、わざと保険のネットワークに入らないのです。米国の医療制度はとにかくややこしく、カバー内容も頻繁にかわるため、気が抜けません。診察後に送られてくる請求書にも疑問があれば、即電話して交渉です。

   居住する州や市によっても医療保険料は違います。ただ医療保険料が年々値上がりしていること、その内容が悪くなっているのだけは事実です。トランプ大統領は「オバマケアにかわる医療保険制度を」といって、代替案を出そうとしていますが、それに伴い、また医療保険費が値上がりするだけだろうなと懐疑的にならざるをえません。

   私の腕の痺れは残念ながらまだ完治はしていません。日本から帰ってきて、治療再開、と思ったら、フィジカルセラピーに「新しい処方箋が必要」と言われてしまいました。そこで、整形外科医に電話して、新たに処方箋を出してもらうようにお願いしたところ、「保険会社が認証するまで待ってくださいね」とのこと。やっと保険会社からの許可がおりたので、治療再開ができるとほっとしたところです。気苦労が絶えず、忍耐力のみが培われているなあと思うことしきりです。


●筆者プロフィル
北雨利香。南カリフォルニア在住。2児の母。40歳をこえた途端に、定期健康診断で毎回のようにひっかかり、医者にサプリを飲むよう指導される。興味のあることは美容、健康、子供の教育、米国プロスポーツ、ハリウッドゴシップ、トランプ大統領の政策。

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