IQの低い子は労働現場で健康被害に
こうした結果から、子ども時代のIQが将来の死亡リスクに大きくかかわっていることが確認されたという。では、どうしてIQの良し悪しが長生きと関係あるのだろうか。研究チームは以下の点が影響しているとコメントしている。
(1)多くの研究からIQの高さは学業成績の高さと結びついている。学業成績がいいと、その後の社会的地位や生活環境の向上が保障される。
(2)IQの高い人ほど喫煙する人が少なく、アルコールを飲む量が少ない。これは、教育水準が高く、健康知識が豊富であることと、職場環境がいいことが影響している。
(3)IQスコアは遺伝的な要因にも影響される。英国では、労働者階級の子どもは高等教育を受けず、早くから男性は鉱業や造船業などの工事現場で働く。職場での喫煙率は非常に高く、有害な毒性物質が労働者の呼吸器官に悪影響を与えている。また、女性も早くからクリーニング工場など化学物質の多い工場で働くケースが多い。職場環境の違いが死亡リスクに大きな影響を与えている。
階級差が大きいといわれる英国ならではの研究結果のようだ。