鉄分摂取にはホウレンソウより小松菜
フェリチンとは何か。鉄分は主に肝臓にあり、フェリチンという部分に蓄えられている。鉄分が不足すると、フェリチンから鉄を供給する。この状態では血液中の鉄分値に異常はみられないが、実際には鉄分が不足しがちな状態だ。財布の中に十分なおカネがありそうに見えるが、実際は銀行預金をどんどん取り崩している状態と思えばいい。そんな症状が「隠れ貧血」なのだ。放っておくとフェリチンがなくなり、深刻な貧血になる。正常なフェリチン値は25~250なのに、細谷さんの値は11だった。
臼杵医師「隠れ貧血は女性に多いのです。原因は女性によくある子宮筋腫によって、月経量が増えたり、月経時以外にも出血していたりするせいだと考えられます」
細谷さんの子宮を調べると、小さな子宮筋腫が3つ見つかった。また、細谷さんはスイーツが大好きで、そのせいで鉄分摂取不足に陥っている可能性がある。偏食やダイエットによって、鉄分の摂取不足が起こると、貧血を引き起こすことが多いという。
1日の鉄分摂取推奨量は、男性(30~69歳)が7.5ミリグラム以上、女性(30~69歳)が6.5ミリグラム以上だ。鉄分摂取の優等生食品といえばホウレンソウが思い浮かぶが、ホウレンソウには鉄分の吸収をさまたげるシュウ酸が含まれている。そこでオススメなのが小松菜だ。また、レバー、カツオ、ひじきにも鉄分が多い。ビタミンCは鉄分の吸収を高めるので、レモンやグレープジュースと一緒にとるといい。一方、お茶やコーヒー、ワインに含まれているタンニンは、鉄と結び付くことで鉄分の吸収を悪くするので、注意が必要だという。
ところで、自分で貧血かどうかチェックするにはどうしたらよいか。順天堂大学の奈良信雄特任教授が次のチェックポイントをあげた。この中で1つでも該当すると、貧血の可能性があるという。
(1)疲れやすい。
(2)眠っても疲れがとれない。
(3)階段や坂道などで息切れがする。
(4)動悸がする。
(5)顔色が悪い。
(6)足がむくみやすい。
(7)爪が反りかえる(俗にいうスプーン爪)。
(8)普通は食べない物を食べたくなる(氷をかじったり、土や砂を食べたりしたくなる)。