猛暑の季節に入り、ドライアイスを手で触って凍傷になるなどの事故が増えているため、消費者庁は2017年7月27日、「ドライアイスは絶対に素手で触らないで」と注意を呼びかけた。
ほかにも密閉容器に入れると、気化して膨張、破裂する事故も多いという。
マイナス78度の超低温、触るとヤケド症状
消費者庁の発表によると、ドライアイスはマイナス78.5度と極めて低温だ。素手で触ったりして皮膚に接触すると凍傷になる危険性が高い。また、すぐに気体化して膨張し、体積が約750倍に大きくなる。このため、食べ物を冷凍保存しようと密閉容器に入れ、破裂する事故があとを絶たない。しかも、気体化した二酸化炭素は空気より重いため、低い所にたまる。換気不十分なところで酸欠状態になり、死亡する事故も起きている。
消費者庁が発表した事故のケースは次のとおりだ。
【接触による凍傷】
(1)アイスクリーム店で持ち帰り用にアイスクリームを買った時、アイスクリームの上に置かれたドライアイスに4歳の男の子が触れ、やけどのような症状が出た。
(2)高齢の女性がドラッグストアの店員からドライアイスを渡され、「首につけると涼しいですよ」と言われ、首にドライアイスを付けた。そのため、首に水泡ができてしまった。
※夏場は、冷凍の食品の保冷用にドライアイスを使う機会が多くなる。保護者は、子どもが素手で触ったり、口に入れたりしないよう十分に注意し、ドライアイスを子どもの手の届かない所に置くことが大切だ。
凍傷になったと思われる場合には、まずは患部を40~42度の湯に浸し、温める。患部はこすらず、水泡がある場合は潰さずにガーゼなどで保護して、医療機関を受診するとよい。
体積が750倍に膨張、密閉容器に絶対入れない
【密閉容器が破裂】
(1)スーパーでアイスクリームを買い、ドライアイスをビニール袋に入れて持ち帰ったら破裂した。
(2)小学校のドライアイスを使っての実験で、男子児童がドライアイスをペットボトルに入れて蓋を閉めた。膨張したペットボトルが爆発、破片が児童の右目を直撃した。
※ドライアイスをペットボトルやビンなどの密閉容器には絶対に入れない。スーパーなどでドライアイスをビニール袋に入れる際、店員にアイスピックなどで穴を開けてもらう。
【換気が不十分な所での酸欠】
(1)機械の冷却用に使うドライアイスをワゴン車で運搬作業中、ドライアイスから発生した二酸化炭素によって酸欠になり、作業員が死亡した。
※地下室や自動車の中など換気が不十分な所では、ドライアイスの貯蔵や取り扱いをしない。二酸化炭素を吸うと意識障害を引き起こす危険がある。