「インスタバエ(蝿)」。いまインターネット上で、こんな言葉が流行の兆しを見せている。
「インスタ映え」と害虫のハエを掛け合わせた造語で、主にインスタグラム用に「おしゃれ」な写真を撮ろうと躍起になる若者を揶揄する意味で使われているようだ。ネット上には、「インスタバエはパンケーキに大量発生するらしい」といった書き込みが数多く出ている。
「渋谷にはインスタバエがたくさんいる」
電球を模した容器に色鮮やかなドリンクを入れた「電球ソーダ」、幻想的な夜景をバックに水着姿をアップする「ナイトプール」......。このように、インスタグラム上では、フォトジェニックな写真を求める若者たちの手で次々と新たな流行が生まれる。
インスタ上で「おしゃれ」と話題を集めた店が一気に行列店になることも良くあるケース。また、インスタに投稿する写真を撮影するためだけに長蛇の列に並んで1日を費やす、そんな過ごし方をする若者も少なくない。
こうした若者を揶揄する言葉として生まれたのが、「インスタバエ」という言葉だ。
ツイッター上では2017年春ごろから使用者がポツポツと出ていたが、7月中旬から急速に広まりを見せている。例えば、7月31日に「インスタバエ」というワードを使った投稿の数は100件以上に及ぶ。
具体的には、どんな投稿が寄せられているのか。ツイッターを眺めてみると、
「ショウジョウバエ、ノミバエが繁殖する夏。昨今ではインスタバエというハエが女子高生、女子大生、OLの間で繁殖してるらしい」
「インスタ映えするような綺麗な食べ物やスイーツにばかり群がる女を インスタバエという」
「パンケーキの周りに何かブンブンたかってるなと思ったら、インスタバエでした」
「渋谷にはインスタバエがたくさんいるぞ!」
といった書き込みが次々とヒットする。
早くも若者の間では「ネタ」に?
さらには、インスタグラムのアプリの公式マークの図柄とハエを掛け合わせた「インスタバエ」のイラストを投稿するユーザーも登場。そのほか、インスタバエの性質を「生物図鑑」風にこと細かに説明する動きもあり、例えば、
「過剰な画像加工を好み、主食はインスタのいいね。承認欲求モンスターの一種」
「一般にコンパクトな小顔、大きく発達した眼球を持つかのように擬態する写真技術を持つ。 テレビや雑誌、SNS上で話題になった場所によく集まるという性質がある」
との投稿が出ている。
一方、情報に敏感な若者たちの中には、早くも「インスタバエ」という造語をネタとして使い始めるユーザーも。
実際、インスタ上でハッシュタグの「インスタバエ」を検索すると、すでに170件以上の写真がヒットする(8月1日夕時点)。こうした投稿には、おしゃれな風景や食べ物を写したフォトジェニックな写真に、
「インスタバエ狙いです」
「♯インスタバエ ♯これは新種の昆虫です」
「♯インスタ映えのために二つ注文♯インスタバエのデザート♯インスタバエとかいう昆虫」
と冗談めかしたコメントが添えられているのだ。
また、歌手でタレントの麻生夏子さん(26)も8月1日昼の投稿で、おしゃれなカフェでミントがたっぷり入ったモヒートを飲む自身の写真に、
「♯インスタバエ」「♯ブーン」
とのタグを添えている。