韓国映画「軍艦島」異例の大ヒット 「記録映画の類ではない」はずだが...

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   長崎市の軍艦島(端島)をテーマにした韓国映画「軍艦島」が2017年7月26日に韓国で上映が始まり、過去にないヒット作になっている。軍艦島の炭鉱で働いていた朝鮮人徴用工が、自分たちを坑道に閉じ込めて爆殺しようという炭鉱側の計画を察知し、島からの脱出を試みる、というストーリーだ。

   日本側は「史実を反映した記録映画の類ではない」とする一方で、韓国側は「実際の歴史的事実からインスピレーションを受けて制作された」と違う態度を見せている。「(軍艦島で)過酷な条件下で強制労働させられたことは周知の事実」とも主張した。実は、軍艦島の世界遺産登録が決まった際、日本政府は徴用工などに関する「インフォメーションセンター」の設置を表明している。今回の映画を機に、この「宿題」が蒸し返される事態になっている。

  • 軍艦島をテーマにした映画が韓国で異例のヒットを記録している
    軍艦島をテーマにした映画が韓国で異例のヒットを記録している
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「朝鮮人をトンネルに閉じ込めたまま爆破しようとして...」

   韓国映画振興委員会のまとめによると、公開初日の7月26日に映画を見た人は97万1554人。聯合ニュースによると、これまでの初日の最高記録は17年6月に公開された「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」が記録した87万2965人で、韓国で上映された映画としては「過去最速」のスタートダッシュだといえる。事前試写会などで見た人も合わせると、公開5日目の7月30日までに累計で406万7577人が鑑賞した。韓国内のスクリーン占有率も37%前後で推移している。韓国中のあらゆる映画館の3分の1以上で「軍艦島」が公開されている計算だ。

   映画の「あらすじ」では、

「日本全域に米国の爆撃が開始され、日本の敗色が濃くなると、日本は軍艦島で朝鮮人に犯したすべての蛮行を隠蔽するために朝鮮人をトンネルに閉じ込めたまま爆破しようとしている」

として、主人公が軍艦島から脱出を試みると説明されているが、この「脱出劇」はあくまで「フィクション」だ。

菅義偉官房長官「史実を反映した記録映画の類ではない」

   菅義偉官房長官は7月26日午後の会見で次のように話し、念を押した。

「この映画『軍艦島』については、監督自身が『創作された話である』、このように述べているとおり、史実を反映した記録映画の類ではないと思っている。政府としてはかかる映画の内容にひとつひとつコメントすべきではないと思っている」

   その上で、徴用工問題を含めた日韓間の財産・請求権の問題は、1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決済みの問題」だと強調した。

「実際の歴史的事実からインスピレーションを受けて制作された」

   だが、韓国側は、完全には「創作」だとは受け止めてはいないようだ。韓国外務省の趙俊赫(チョ・ジュンヒョク)報道官は7月27日の記者会見で、

「映画の内容そのものについて政府としてコメントするのは適切ではない」

と断りながらも、

「監督が明らかにしているように、実際の歴史的事実からインスピレーションを受けて制作されたと承知している」
「関連して申し上げると、この軍艦島も、過去多くの韓国人が本人の意思に反して動員され、過酷な条件下で強制労働させられたことは周知の事実」

と述べた。

韓国外務省「約束した措置を誠実かつ早急に履行することを要求」

   軍艦島にある端島炭鉱は2015年、全国23施設の「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産の登録が決まった。韓国側は登録に反対していたため、日本政府の代表団が世界遺産委員会で、

「日本は、1940年代にいくつかのサイトにおいて、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者等がいたこと、また、第二次世界大戦中に日本政府としても徴用政策を実施していたことについて理解できるような措置を講じる所存」

   だと表明。具体的には

「インフォメーションセンターの設置など,犠牲者を記憶にとどめるために適切な措置」

を行うことで韓国側と妥協し、登録にこぎつけた経緯がある。

   韓国外務省の会見では、記者がこういった点を指摘したのに答える形で、報道官は

「政府は、日本政府が2015年7月にユネスコの世界遺産会議で約束した措置を誠実かつ早急に履行することを要求する」

と主張した。今回の映画のヒットで徴用工問題がクローズアップされ、日本政府に対して対応を急ぐ声が高まる可能性もある。

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