睡眠不足は予防接種の効果もなくす
米国の研究では、7時間睡眠の人が6年先の死亡率が最も低く、7時間より短い睡眠時間だと死亡率が約1.3倍高くなるという結果が出ている。西野氏も22時に寝て5時に起きる7時間睡眠を実践している。
7時間未満の睡眠では、認知症のリスクも約1.6倍になる。西野氏の実験では、マウスに睡眠制限をかけると、認知症のうちアルツハイマー病の原因とされる「アミロイドβ」という物質が頭の中に沈着した。
アミロイドβは日中の活動で発生する脳の老廃物で、神経細胞を傷付け、脳の働きを衰えさせる。寝ている間に排出されるので、睡眠と認知症に関係があるというわけだ。
6時間以下の睡眠では、女性は乳がんのリスクが約1.7倍、男性は前立腺がんのリスクが約1.4倍になる。
通常、体内にがん細胞ができると、免疫細胞が攻撃して抑え込む。睡眠不足だと免疫細胞の働きが鈍くなり、がん細胞が増殖する。
0時~5時はがん細胞ができやすい時間帯だが、寝ていれば免疫細胞が活性化してやっつけてくれるので、この間は寝ていた方がよい。
5時間以下の睡眠では、風邪などの感染症のリスクが約4.5倍になる。睡眠中に体内で免疫力を上げるので、時間が足りないとその分病気にかかりやすくなる。
インフルエンザなどの予防接種をした時も、寝不足だと抗体ができづらくなる。少なくとも予防接種した日は十分な睡眠を取るようにしよう。
糖尿病のリスクも約2倍になる。睡眠不足だと血糖値を下げるインスリンの分泌が減るためだ。不眠症患者に糖尿病の人が多いという報告もある。
睡眠不足は、休みの日などにまとめて長時間寝る「寝だめ」では解消できない。さらに、目を閉じていても眠っていなければ病気のリスクは下がらない。
西野氏の習慣を参考にしつつ、毎日同じ時間に寝るよう心がければ、慢性的な睡眠不足の解消が期待できる。