弘前大学と東北電力は2017年7月28日、なまりが非常に強く「日本一難解な方言」といわれる津軽弁を、AI(人工知能)で標準語に自動翻訳するシステムの研究を共同で始めると発表した。
病院などで県外出身の医療者が、患者が何を話しているのかわからず、誤認するケースが少なくないため、医療・看護現場での実用化を目指す。
ゲノム解読の最先端技術で「津軽弁解読」を
津軽弁は青森県西部(津軽地方)の方言。標準語とは発音が大きく異なり、独特の言い回しが多いため、難解な方言として有名だ。地元の人以外はほとんど理解できないため、全国放送のテレビ番組では津軽弁が出てくると標準語の字幕を付けることが多い。弘前大学付属病院では、県外出身の医師や看護師が患者の言葉を理解できない問題が起こっているという。
弘前大学と東北電力の発表資料によると、東北電力コールセンターには顧客から年間150万件の申し込みや問い合わせの電話がかかっており、その音声記録から津軽弁の膨大なデータを弘前大学に提供する。一方、弘前大学では現在、AIを活用したゲノム解読の研究を進めており、そのノウハウを「津軽弁の解読」に応用する。津軽弁の研究者もおり、方言やなまりに関する知見を活用する。
弘前大学としては、付属病院での医療者と患者とのコミュニケーションに役立てる。東北電力としても、コールセンターに津軽弁の電話がかかってくると、何を話しているのかわからず、通話時間が長引くケースが多いため、顧客サービスの向上に役立てるメリットがある。最終的には、津軽弁の会話をすぐに標準語のテキストに翻訳、文字データで表わすシステムを目指すという。