栄養面からも健康面からも「よくない食事」とされるファストフード。比較的安価であると考えられ、米国では「低所得層の食事」として肥満や不健康にもつながっているとも言われていた。
しかし、米CNNなどの報道によると2017年に発表された大規模調査で、貧困層はファストフードを最も食べていないとわかったというのだ。
むしろ富裕層と中所得層がよく食べている
レポートは米オハイオ州立大学とミシガン大学の研究者らが共同で発表し、経済・生物学分野の専門誌「Economics & Human Biology(Volume 27)」に掲載された。
調査方法はシンプルで、無作為に選んだ米国民を1979年から2年おきに追跡調査している大規模調査「National Longitudinal Survey of Youth」から、2008年、2010年、2012年のデータを抽出。ファストフードの摂取率と社会経済的地位(SES)の関係を分析している。
その結果、低所得層に分類される人たちは、中所得層や富裕層よりもファストフードの摂取率が低く、中所得層と富裕層はほとんど同程度の摂取率という従来のイメージとは真逆の結果が出たのだ。中所得層で最も摂取率が高い人と、低所得層で最も摂取率が高い人の差は54.5%と、かなりの差がある。低所得層の中でも収入が少ないほどファストフード摂取率は低くなっていた。
研究者らはこの結果について、「そもそも米国においてファストフードはそれほど安くなく、低所得層には高すぎる」と指摘。低所得層に肥満などが多い点については、
「(貧困ゆえに)適切な医療機会にアクセスできず、食事制限などもできないため、一度肥満など不健康な状態になると抜け出せないため」
と推測している。
調べてみると、米国農務省が国勢調査の一環として2014年に発表したファストフードの平均価格は8ドル(約890円)以上で、安価とはいえない価格だ。
米保健福祉省の規定では2人で年収が1万6000ドル(約177万円)以下の世帯が「貧困層」とされているが、仮に1日3食をファストフードにしてしまうとあっという間に世帯収入を上回ってしまう計算になる。