内閣支持率「低下」で財政規律に緩み? 予算編成めぐる攻防

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今後も税収が伸び悩めば...

   子育て支援を含む教育関連は、安倍首相も意欲を見せる「教育の無償化」全体の中で、どこまで議論が深まるか。幼児教育の無償化だけで1兆円の財源が必要とされるほか、待機児童対策で保育園の定員を2020年度末までに22万人分増やすため、年間500億円規模の予算が必要とされる。大学の無償化ともなると必要財源は3兆円になる。自民党の小泉進次郎氏らが提唱したこども保険や、文教族が主張する教育国債などを含めた議論が年末まで続くことになる。

   こうした個別の費目を詰めつつ、総枠として、どのような予算に仕上がるかは、財政再建と絡んで、大きな焦点だ。

   安倍政権が上限を設けない予算編成を進めてきたのは、税収増を当てにしてのこと。これまでは、それなりにうまく回ってきた。アベノミクス、とりわけ大規模な金融緩和による円安による企業業績の好転や株高で、2017年度予算までは税収の伸びが歳出の伸びをカバーし、新規国債発行額を減額してこられた。ただ、2016年度の税収は前年度比1.5%減の55兆4686億円と、7年ぶりに前年を下回った。今後も税収が伸び悩めば、赤字国債を増発して必要な財源を確保せざるを得なくなる可能性もある。

   政府は社会保障などの政策に使うお金を、新たな借金に頼らずに賄えるかを示す指標である基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を2020年度に黒字化するという目標を掲げるが、達成はほぼ絶望視され、今年6月の骨太の方針で、債務残高の対国内総生産(GDP)比率の「安定的な引き下げ」を財政再建の新たな目標に加えた。「債務残高が増えても、GDPがそれ以上に増えれば比率が下がり、財政健全化が進んでいるように見える」(エコノミスト)仕組みだ。

   ここにきて、加計学園獣医学部新設問題や稲田朋美防衛相の辞任など安倍政権の支持率急落も、予算編成に暗い影を落とす。歳出の抑制など不人気の政策がいよいよ取りづらくなるからだ。実際、安倍首相のブレーンは歳出増を求め、経済財政諮問会議の民間議員からは「人材投資や研究開発投資の経費は当初予算を拡充すべきだ」といった声が上がり、内閣府は科学技術関係予算を3000億円増やすよう要求。与党からも「国民生活を犠牲にしてまで、(社会保障費増加)5000億円に抑える必要はない」(厚労族)と牽制する声も絶えない。

   秋からの予算編成作業は、安倍政権の支持率もにらんで、神経質な展開になりそうだ。

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