大手電機メーカーのパナソニックは2017年7月27日、運転者の眠気を予測し、はっきりと目覚めた状態を維持する眠気制御技術を新たに開発したと発表した。
従来の居眠り運転防止装置は、運転手の体に装着し、眠気を感知するとアラームを鳴らすシステムだが、この装置は、運転席に取り付けたカメラやセンサーを使って眠気を予測、エアコンの強さなどを調整して眠気を抑え、快適な運転環境を作るという。
AIが室内温度や明るさ、音楽まで調整
パナソニックの発表資料によると、この技術では、カメラでドライバーの目の開き方やまばたきのスピード、表情などを計測して現在の眠気を検知する。そして、現在の眠気に加え、センサーで検知した車内の明るさや、赤外線カメラで検知した運転手の体からの放熱量などをもとに、今後の眠気を予測する。
眠気のレベルは5段階で表示され、AI=人工知能が推定。現時点で高い眠気が検知された場合、音声を使って休憩するよう呼びかける。また、15分後などに眠気が出ると予測される場合は、車内のエアコンを強めて温度を下げたり、車内を明るくしたり、音楽の音量を大きくしたりして眠気を抑える。そして運転席のモニターに休憩場所の案内を表示する。これは、寒くて明るい環境は眠くなりにくく、温かく薄暗いと眠くなりやすいという人間の生理を応用したものだ。
パナソニックでは、発表資料の中で「2017年10月から試作機を提供し、居眠り運転を防止することで交通事故を減らしたい。また、このシステムを教育機関や業務用オフィスなどにも広げたい」とコメントしている。