長崎県の親和銀行を傘下に持つふくおかフィナンシャルグループ(FG)と、同県最大手の十八銀行の経営統合が暗礁に乗り上げている。統合によって県内シェアが高まることに公正取引委員会が難色を示しているためで、ふくおかFGと十八銀は2017年7月25日、10月に予定していた経営統合時期を無期延期することを発表した。今後も公取委と協議を続ける方針だが、落としどころは見つからず、関係者の間では「統合断念に追い込まれかねない」と危機感が広がっている。
「時間がかかっても成し遂げたい」。この日の記者会見で経営統合の無期延期を発表したふくおかFGの柴戸隆成社長は、長期戦で公取委の承認を得る姿勢を示した。十八銀の森拓二郎頭取も「現段階で断念や白紙撤回は考えていない」と述べ、統合を目指す考えに変わりはないことを強調した。
公取委が問題視
ふくおかFGと十八銀は2016年2月、経営統合に基本合意し、同年6月、独占禁止法に基づく審査を公取委に申請した。審査がスムーズに進むことを前提に、17年4月の経営統合を目指していた。
ところが公取委は、統合後の長崎県での企業向け融資シェアが約7割に上ることを問題視。「詳細な審査が必要」として2次審査に着手した。新銀行が7割のシェアを握れば、競争が失われ、貸し出し金利の上昇などを招いて取引先企業に不利益が及ぶとみているためだ。
審査継続を受け、ふくおかFGと十八銀は2017年1月、統合時期を4月から10月に延期した。融資先企業の意向を確認したうえで、貸し出し債権を他の金融機関へ譲渡してシェアを下げる対策も検討している。しかし、「譲渡額などをめぐって公取委との協議は難航している」(関係者)といい、とうとう統合の無期延期に追い込まれた。
ふくおかFGと十八銀は今後、公取委に対し、統合後も融資先企業が不利益を被らないような対策を新たに提案し、行き詰まっている協議を打開したい考えだ。具体的には、第三者が貸し出し金利をチェックすることなどが想定される。