激痛引き起こす「腎結石」の恐怖
岡田利雄さん(45)が体に違和感を覚えたのは、2年前の6月だった。
趣味のマラソンの大会に出場する数日前、軽い風邪のような症状が出た。布団にくるまり大量の汗を出して風邪を治し、大会当日には熱も下がった。
5キロマラソンのラスト1キロでスピードを上げようとしたらふらつき、頭がぼんやりしたが、軽い熱中症だと思いそのまま走り続けた。しかしゴール手前で倒れてしまい、救急車で病院へ運ばれた。病名は「急性腎障害」だった。
腎臓にある、毛糸玉のように丸まった「糸球体(しきゅうたい)」という毛細血管が血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として排出している。
脱水状態になると血液量が減って血圧が低下し、血液をろ過する圧力も低下する。老廃物が糸球体を通過できず、尿毒素として急に体内に溜まると急性腎障害となる。
岡田さんは風邪を治そうと汗をかいて寝ていた時に水分を摂っていなかったので、脱水状態が続いていたのだ。治療を受け、現在は回復している。
症状がさらに進行すると、激痛を引き起こす「腎結石」ができるおそれもある。
脱水状態だと、体内の老廃物の量は変わらないまま水分量が減るので、尿が濃くなる。カルシウムと老廃物のシュウ酸などが結合しやすくなり、腎結石となる。