南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣されていた陸上自衛隊の部隊が作成した日報の所在をめぐる問題は、稲田朋美防衛相の辞任劇に発展した。失言などが相次いだ稲田氏は、日報問題の一連の経緯について報告を受けていないなどと繰り返し国会で答弁してきたが、データ発見後の対応を協議し「非公開」を決めた場に稲田氏も出席していたと報道されたことが「ダメ押し」になった。
辞意表明とほぼ同じタイミングの2017年7月28日午前に発表された特別防衛監察の結果では、2月の会議で日報に関する「何らかの発言があった可能性は否定できない」と指摘。書面による報告や、稲田氏が非公表の方針を了承した事実はないとしたものの、稲田氏が非公表の方針について報告を受け、それを黙認していた可能性は消えないままだった。
特別防衛監察の結果は...
監察結果では、日報データは陸自内に保管されていたにもかかわらず、すでに破棄されていると説明して開示しなかったことを認定。稲田氏の関与については、2月13日と15日に事務次官室で行った打合せの席で、
「陸自における日報データの存在について何らかの発言があった可能性は否定できないものの、陸自における日報データの存在を示す書面を用いた報告がなされた事実や、非公表の了承を求める報告がなされた事実はなかった」
と結論づけた。稲田氏が口頭で何らかの報告を受けた可能性を排除しなかった。稲田氏が非公表を了承したかどうかについては
「防衛大臣により公表の是非に関する何らかの方針の決定や了承がなされた事実もなかった」
とした。
辞任会見でも「私自身、報告を受けたという認識は今でもない」
稲田氏は、7月28日の記者会見でも
「私自身、報告を受けたという認識は今でもない」 「そうした報告があれば、必ず公表するように指導したはず」
などと従来通りの主張を展開した。
7月28日夕方に行われた菅義偉官房長官の記者会見では、
「稲田大臣の関与については、完全に解明されなかった点も残った」
「野党側は、真相解明などを求めて内閣改造前の閉会中審査の開催を求めている」
といった疑問が出たが、菅氏は防衛監察の独立性の高さを強調しながら、
「国会のことは国会でお決めいただく。それに尽きる」
と述べるにとどめた。