地方大会の準決勝とは思えないほど、規格外の「過熱」ぶりだった。2017年7月28日に行われた第99回全国高校野球選手権西東京大会、早稲田実業対八王子の一戦(神宮球場)だ。
観客、声援、報道陣...どれを取っても甲子園級の盛り上がりだったが、ひときわ賑わったのは「清宮女子」だった。
カメラ片手に「お目当て」をパシャリ
試合開始3時間半前の6時半に開場したこの試合。当初の予定は7時だったが、早朝から数多くのファンが詰めかけ前倒しとなった。
今大会から、東・西東京の準決勝・決勝では「前売り券」(2人以上の指定席)を発売していたが、当日までに完売。この試合は内野自由席もほぼ満席状態で、地方大会では珍しい外野席も開放された。
観客席を見渡し一際目立つのが、スマートフォンや高性能カメラを片手に観戦する若い女性だ。記者は今大会、埼玉や東東京の試合に複数回足を運んだが、スタンドの大半は男性ファンで占めており、その差に驚いた。
一眼レフカメラとスマートフォンを器用に持ち替え撮影を楽しんでいた女子大学生(19)に、観戦の目的を聞くと
「清宮くんの写真を撮りにきました」
と、早実・清宮幸太郎内野手(3年)が目当てだと明かす。
野球のルールは「よくわからない」というが、球場の雰囲気が好きです、と話す。中でも、清宮選手の「佇まいがかっこいい」とニッコリ。同選手の頑張っている姿を見ると、元気をもらえるそうだ。
好きになったきっかけは「アメトーーク!」
また、会社を休んで来たという会社員の女性(26)も、同じく「清宮」目当てだ。
「『アメトーーク!』の高校野球大好き芸人を観て、清宮くんのファンになりました」
早実の試合を観戦するのはこれで3度目。この試合、清宮選手は第4打席で高校通算最多本塁打である107号を放ったが、「生で観れて良かったです。鳥肌が立ちました!」とご満悦だった。
怪物スラッガーの一挙手一投足は、連日、テレビや新聞に取り上げられ、「清宮フィーバー」の様相を呈している。その盛り上がりを支えているのは「清宮女子」かもしれない。
八王子に4対1で勝利した早実は7月30日、甲子園の切符をかけ東海大菅生とぶつかる。神宮球場で13時開始だ。「女性ファン」の期待を一身に背負った清宮選手に期待が集まる。