下戸が無理して酒を飲むとがんの発症率が7倍に
さて、「こんなに気を使うなら、少しは飲めた方がいい」と無理して飲む練習をしたりするのは、もってのほかだ。生まれつき酒に弱い体質の人が酒を飲むとがんになるリスクが驚くほど高くなるという研究が相次いでいる。
2016年2月、愛知県がんセンターの松尾恵太郎研究部長らのチームは、酒を飲むとすぐ顔が赤くなる体質の人(酒が非常に弱い人)が長年飲酒を続けると、80歳までに食道がんや咽頭がんになる確率が約20%になるという研究を発表した。実に5人に1人の割合だ。ちなみに、飲んでも赤くならない人(酒が飲める人)が同じがんになる確率は約3%だから、飲める人の7倍も高い。
なぜ、飲めない体質の人が酒を飲むとがんになりやすいのか。アルコールを分解する酵素の働きが生まれつき弱いからだ。そのためアルコールの分解過程でできる有害物質のアセトアルデヒドが体内に残ってしまう。アセトアルデヒドは非常に強い発がん性物質なのだ。アセトアルデヒドが肺まで血液で運ばれると、揮発性が高いので気化して食道や口腔内に出てくる。よく酒に弱い人はゲップをするが、アセトアルデヒドの「毒ガス」を吐いているのだ。その毒ガスが食道やのどの部分にたまり、食道がんや咽頭がんを発症させる。
くれぐれも下戸のアナタは、飲み会の楽しい雰囲気を壊さないようにするのにとどめ、無理をして飲むことだけはやめよう。