早期前立腺がんは「放っておく」が一番? 「手術」と「経過観察」に死亡率の差なし

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手術すると尿失禁や勃起不全が増える

   さて、「NEJM」誌の論文要約によると、研究チームは、早期前立腺がんと診断された患者の中から75歳以下で余命が10年以上と判断された731人(平均年齢67歳)を対象に選んだ。そして、研究開始時点で、前立腺全摘手術を行なう364人と経過観察の367人に分け、最長約20年間(平均約13年間)追跡調査をした。実際には、手術を行なう予定だったグループのうち53人が経過観察になり、経過観察の予定だった367人のうち36人が途中で手術を行なった。

   研究チームは、こうした途中の「変化」を考慮に入れず、当初の「治療方針」どおりに分析を行なった。ほかの病気の治療でも、途中で治療方針を変えることがよくあるからだ。調査期間中に、手術組では364人中223人が死亡(61.3%)、経過観察組では367人中245人が死亡した(66.8%)。死亡リスクの差は5.3%で手術組の方が低かった。また、死亡者のうち、前立腺がんによって死亡したと判明した人の割合を比較すると、手術組が27人(7.4%)、経過観察組が42人(11.4%)で、死亡リスクの差は4.0%でこちらも手術組の方が低かった。

   しかし、これらは統計上、有意な差ではないという。偶然の範囲内の差というわけだ。逆に尿失禁や勃起不全の症状を起こした人は、手術組の方が明らかに多かった。

   前立腺がんは、高齢男性が多くかかるがんだ。死亡率にあまり差がないのなら、自分の「余命」を考えて、「治療」するか「経過観察」かするかを選択することが大切かもしれない。

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