リンゴもカラダも酸素でサビる
西﨑教授「ビタミンCは、吸収されやすい物質です。それから水溶性ビタミンなので、血液に溶け込んで全身を回り、カラダのよくないところに到達します。非常に即効性が高いのです」
カラダの中のビタミンCは、すぐに消費されてなくなりやすい。次のことをすると失われる。「飲酒する」「喫煙する」「甘い物を食べる」「汗をかくような激しい運動をする」「薬を服用する」「風邪を引く」などだ。特に暑い夏は汗をたくさんかくため、ビタミンCが消費されやすい。東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長がこう説明する。
石神部長「汗にはビタミンCが含まれていますから、運動して汗をかくのは、ビタミンCを垂れ流しているのと同じ。なくなることを前提に、前もってとったほうが効果的です」
ところで、老化とは何だろうか。私たちのカラダの中ではいったい何が起こっているのか。MCのお笑い芸人・後藤輝基がわかりやすい例を見せた。リンゴを半分に切る。切った直後は果実が黄色く輝いている。しかし、6時間後、果実は茶色くしなびた。これは空気中の酸素が果実をサビさせたためだ。ところが、ビタミンCが入った水に半分に切ったリンゴを入れると、6時間たった後もみずみずしいまま。ビタミンCがサビを防いでいるのだ。
同じ実験を人間のカラダでも試した。活性酸素を大量に溶かしこんだ水に人間の細胞を浸すと、細胞の色が茶色く変わった。これは、活性酸素によって細胞が酸化する現象。つまりカラダの内側が「サビていく」様子だ。このサビこそ、老化ということだ。活性酸素は、私たちが酸素を吸い、体内でエネルギーを燃やすときにできる副産物。体内に入った酸素の約2%が活性酸素になる。
老化のメカニズムを研究している東海大学の石井直明教授はこう解説する。
石井教授「活性酸素のダメージと戦うための仕組みが2つあります。1つは酵素といわれるタンパク質です。もう1つはビタミンCなどのミネラル。活性酸素を除去できる物質で、抗酸化物質といいます。2つのうち、酵素は私たちの体内で作られますが、抗酸化物質は体内で作ることはできず、食べ物からとることになります。抗酸化物質の中で一番強力なパワーを持つのがビタミンCなのです」