「プロの世界では結果を残さないといけない」
白鵬の取り口の変化、何が何でも勝ちにいくとも取れる姿勢には、理解を示す向きもある。
24日「クローズアップ現代+」(NHK)では白鵬へのインタビューを放送。「横綱に相応しくないと言われることもある」との問いに「ありますね。難しい。でも野球で『投手は直球を投げなければいけない』というと肩が壊れる。それで結果を残せるかと言えばわからない。今は『離れてもよし』『組んでもよし』という域にきたと思う」「プロの世界では結果を残さないといけない。負ければ横綱は引退だ」と話している。
番組には、好角家として知られるデーモン閣下が出演。交流があるという白鵬の取り口の変化について「年齢もかなりになってきて若いころのような相撲がとれない。目先の超えられそうな目標でモチベーションを高めることも考えられる。白鵬にいま大事なのは勝ち星。勝ちにこだわる相撲をとる年齢になったのではないか」と理解を示し、「逆に、いろんな技を持つ白鵬を若い力士が凌駕できないのが、だらしない」と他の力士に注文もしている。
モンゴル出身の白鵬にはたびたび逆風が吹いてきた。2013年の九州場所14日目、当時10年以上誕生していなかった日本出身横綱に向けて期待された稀勢の里(当時大関)が、無敵に近かった白鵬を破ると、観客は万歳三唱を響かせ異様な雰囲気に包まれた。これを象徴とした風当たりについて白鵬は番組で「(元横綱)双葉山関の言葉を思い出します。『勝って騒がれるのではなく、負けて騒がれる力士になりなさい』と。良いように考えていくしかない」と受け止め、前を向いていた。
大相撲界では2010年に野球賭博問題、11年に八百長問題が相次いで発覚し当時一人横綱だった白鵬が奮闘してきた経緯がある。デーモン閣下は「相撲界が苦難のときに一生懸命屋台骨を支えてきた白鵬にファンはああいう態度かと。日本人はもうちょっと了見広く白鵬を見るべきだと思う」とし、「憎らしいほど強い」と言われた元横綱・北の湖を引き合いに「北の湖関がいくら強かったと言っても、負けて万歳は出ませんでしたよ。イチロー選手に米国のメジャーリーグでブーイングが起きたら悲しいですよね。そういうことを思って相撲を見ていかないといけないんじゃないかなと思います」と話した。
なお白鵬は名古屋場所中の7月21日、近い将来日本国籍を取得する意向であると複数のメディアから報じられた。取得すれば親方として日本相撲協会に残り、後進の育成に携われる。