海老蔵は今もブログで悲しみ続ける 最愛の人失った苦難SNSで癒せるか

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   歌舞伎俳優・市川海老蔵さん(39)の妻、小林麻央さん(享年34)が亡くなってから、1か月が過ぎた。海老蔵さんは頻繁にブログを更新し、麻央さんを失った悲しみを今でもしばしば表現している。

   家族と死別したつらさ、苦しい気持ちをブログのほか、交流サイト(SNS)上に書く。これにより、同じ悲しみを抱えた人たちがSNS上で交流し、お互いの経験を共有していやしにつなげるケースもある。

  • 妻・麻央さんを亡くし会見で涙にくれる市川海老蔵さん(2017年6月23日撮影)
    妻・麻央さんを亡くし会見で涙にくれる市川海老蔵さん(2017年6月23日撮影)
  • 妻・麻央さんを亡くし会見で涙にくれる市川海老蔵さん(2017年6月23日撮影)

「えいえいおー」は「麻央がよく言っていた...」

   海老蔵さんは、息子や娘との触れ合い、歌舞伎の稽古や舞台前後の様子といった投稿を含め、1日にブログを十数回更新するのが珍しくない。麻央さんが2017年6月22日夜に亡くなってからは、ストレートに悲しみを表している。一時は「更新しすぎ」という批判があったようで、6月27日には、

「御理解してくださいとは言いません。居ても立っても居られないとき、私はブログが1つの支えになってます。皆様のコメントや こころの在りようを表す事で少しだけ 気を取り戻せるような気もするのです」

と説明していた。以降も、積極的な投稿が続いている。

   7月21日には、麻央さんが以前執筆したブログの英訳版を引用し、こう書き込んだ。

「涙 想像するだけで、つらい... まお、、」

   麻央さんが書いていた内容は、医師から95%がんだと告知され、涙が流れたときの回想だった。

   7月22日には、ブログのコメント欄に「えいえいおーって たくさんの方が」応援してくれることに感謝している。一方で「えいえいおー」は「麻央がよく言っていた...」そうで、「コメントにその文字があるたびに彼女のえいえいおーを思い出し涙します」とも。

   妻や夫、子どもと死別した人が、悲しさやつらさを素直にブログに投稿するのは、海老蔵さんに限らない。インターネット上には、遺族となった人が運営しているブログが数多く見つかる。いずれも、最愛の人を亡くした悲痛な叫びとさびしさ、もう一度会いたいという願いがあふれ出ており、2年3年と投稿が途切れず続いているものも多かった。一方で、ブログを読んだ人から励ましや共感のコメントが寄せられ、ブログ執筆者とやり取りするケースも見られた。

フェイスブックCOOが直面した夫の急死

   近年では、死別を体験した人同士が集まって顔を合わせ、語り合って気持ちを分かち合う会が、各地で開催されている。また、愛する人を亡くした大きな悲しみや喪失感を抱えた人に寄り添って、本人が立ち直って前を向いて歩いて行けるまでを支援する「グリーフケア」が注目されている。

   もちろん海老蔵さんにも、深い悲しみを理解しサポートしている人はいるだろう。だが著名人であるため、大勢の人に混じって自分の気持ちを吐露する機会を持つのは難しいかもしれない。ブログは、ファンを含めた不特定多数の人に自分の正直な悲しい気持ちをぶつけられる有効な手段なのだろう。何よりも海老蔵さん本人が「ブログが1つの支え」であり、多くの人とつながれると考えている。実際にコメントが書き込まれ、海老蔵さんが目を通し励まされているようだ。

   「Option B」という英語サイトがある。SNS世界最大手フェイスブックの最高執行責任者(COO)、シェリル・サンドバーグ氏の財団が運営母体だ。同氏の夫は2015年、旅行中に急死した。あまりに突然の悲劇による悲しみと苦しみ、喪失感に襲われながらも、サンドバーグ氏は夫の死から多くを考え学んだという。その中で開設された「Option B」は、逆境に直面している人がそこから意義を見いだし、立ち直る力を養う手助けをするのが目的とある。病気や虐待、離婚、暴力といったさまざまな苦難が人生にはあるが、死別の悲しみもそのひとつだ。実際に愛する人を失った多くの事例をはじめ、悲しみをどう発散すればよいか、支援者は遺族にどう寄り添うか、といったポイントを専門家が解説するなど、豊富なコンテンツが用意されている。

   フェイスブックにも「Option B」のページが開設されている。参加登録すると、同じ境遇の人たちと経験を分かち合い、意見交換することができる。自分の悲しみをオープンに打ち明けて仲間に理解してもらう、逆に仲間の話を聞いて支える――こうした行為を通して、お互いをいやしていく。なおサンドバーグ氏は、自身の経験や逆境の乗り越え方を盛り込んだ「Option B」という同名の書籍を上梓しており、日本語翻訳版も刊行されている。

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