実は共食いをさせる謎の成分がある?
また、オロック准教授らは、ジャスモン酸メチルを散布したトマトの葉を1匹1匹隔離した状態でイモムシに与えた。仲間を共食いできない状態で葉を食べさせたのだ。すると、通常の葉を食べたイモムシより成長が遅かった。トマトは「味をまずくする」「栄養価を低くする」という二重の作戦でイモムシの共食いを誘い、身を守っていたわけだ。
この結果について、オロック准教授はプレスリリースの中でこう語っている。
「敵に共食いをさせるという植物の防御方法は初めての発見です。ジャスモン酸メチルの警報を受けたトマトは何らかの成分を産生し、葉の味をまずくし、なおかつ栄養価を低くしたわけですが、そのためにイモムシが共食いを始めたのかどうかは謎です。まずくなった葉からイモムシを引き離し、通常の葉を与えた後もイモムシは共食いを続けたからです。その何らかの成分に共食いを始めさせる物質が含まれている可能性があるのです」
何とも恐ろしい話ではないか。それほど凄まじい生存競争を生きているトマト。食べる時はしみじみと味わってあげたい。