霞ヶ関人事は玉虫色? 朝日「にじむ『安倍カラー』」、読売「官邸色薄く」

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「論功行賞」?「報復批判を避けた」?

   このほか、安倍政権が掲げる「女性登用」で、首相秘書官を2年務めた宗像直子氏が古巣の経産省に戻って女性として初めて次官級の特許庁長官に就任。宗像氏の前任で女性初の首相秘書官を務めた山田真貴子氏は総務省官房長から情報流通行政局長に転じた。また、国土交通省では伊藤明子氏が同省初の女性局長として住宅局長に就いた。

   また、宗像氏の後任の首相秘書官に就いた経産省出身の佐伯耕三内閣副参事官は、首相の施政方針演説などの「スピーチライター」を務めてきた。秘書官は省庁の課長、時に局長経験者を起用するのが普通で、課長にもならない42歳の若さでの異例の抜擢が話題だ。

   今回の人事は、大手紙の報道ぶりも評価が分かれた。佐川氏の国税庁長官起用には、朝日(東京最終版、以下同)が7月5日朝刊で「森友の説明拒み続け昇進」と、中面ながら3段の見出しで、拒否した答弁一覧表付きで大きく報じ、同日の社説でも、「国税長官人事 政権の体質の象徴だ」と題し、「国税庁は524の税務署を持ち、5万人余の職員が日夜、個人や企業の金の動きに目を光らせている。国民から税金を徴収する権力は絶大で、税金を使って政策を行う他の役所以上に説明責任が求められる。その組織のトップに、国民への説明を拒絶し続けた人物をすえる。理解が得られるとは思えない」などと指弾。毎日も、6日朝刊の囲み記事で「『論功行賞』与野党批判」との見出しを掲げ、野党の批判に加え、「論功行賞が露骨だ。安倍さんはまた自分に近い人を大事にした、と国民は思うだろう」との「与党幹部」の声を紹介している。読売や産経は、昇格の事実を淡々と、さらりと報じただけだった。

   今回の人事全体の評価で、際立ったのが読売の紙面だ。日経(5日朝刊)が「官邸の意向、色濃く」と見出しを掲げ、首相の信任厚い経産省の嶋田隆通商政策局長の次官昇格や菅長官に近い人物の人事などを取り上げたほか、朝日(同)も「にじむ『安倍カラー』」として佐伯秘書官や宗像特許庁長官人事などを論じたが、読売(同)は「省庁人事 官邸色薄く」と、独特の見出しを掲げた。特に読売が注目したのが文科省人事で、加計学園問題などで「内部文書の流出が相次いだ。このため、監督責任を問うべきだとして、次官ら幹部を他省庁から起用する案も取りざたされた」と指摘したうえで、幹部留任について、「都議選で惨敗したことなどを受け、首相官邸が『報復』と批判を浴びかねない人事を避けた、との見方が出ている」と分析している。安倍政権に近いとみられる読売の解説だけに、「世論を刺激したくない官邸の『低姿勢』をPRしたいとの意向の反映」(別の全国紙政治部デスク)との見方もある。

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