東日本で「甲類」が売れるワケ
話を聞いた3社は、いずれも全国で甲類焼酎を展開している。にも関わらず、なぜここまで販売量に差がつくのか。
焼酎の歴史や販売動向に詳しいある業界関係者は取材に対し、
「理由はさまざまですが、一つに、物流の関係で昔は関東には本格焼酎があまり入って来なかった点があります。そこで関東では、ホッピーや酎ハイなど甲類焼酎を使った『割り材文化』が流行したんです」
と話す。一方で、地理的な面で早くから本格焼酎に親しんでいた関西では、「一昔前までは、麦の本格焼酎で酎ハイを作っていた」という。
また、宝ホールディングスの担当者は「あくまで一説ですが」と前置きした上で、
「宝焼酎をはじめとした甲類焼酎は古くから、関東の市場で圧倒的な人気を集めていました。大正から昭和初期ぐらいまでの東京は、東北地方から『出稼ぎ』のために多くの人が集まっていました。その東北出身者が、関東で飲んだ甲類焼酎を地元に持ち帰ったことから、関東を中心に広く東日本で飲まれるようになったと推測できます」
と説明。一方で、関西は九州や中国地方から人が集まってきたため、本格焼酎が定着したのではないかと推測。その上で、
「そもそも、関西には伏見や灘など日本酒どころが多く、基本的には地の日本酒が良く飲まれていました。こうした理由から、関西では甲類焼酎が定着するまでに時間がかかっていて、そうした文化の差が、現在の販売量にも繋がっているのではないでしょうか」
としていた。