米国のトランプ大統領が米ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで、安倍昭恵夫人について「英語を話さなかった」「『ハロー』も言わなかった」と話し、米メディアから問題視されている。
昭恵氏は過去に米国で行われたシンポジウムで英語でスピーチをしており、「『ハロー』も言えないほどに英語を話せない」ことは考えにくいからだ。そのため、何らかの理由で昭恵氏が英語を「話さなかった」のか、それともトランプ氏がウソをついているのかなど、様々な憶測が広がっている。
プーチン氏との「極秘会談」が問題化
トランプ氏のインタビューは2017年7月19日(米東部時間)、ニューヨーク・タイムズ紙のウェブサイトに掲載された。7月上旬にドイツで行われた主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)の夕食会の席で、トランプ氏はロシアのプーチン大統領と「極秘会談」したことが問題視されていた。昭恵氏の名前は、トランプ氏が「極秘会談」に至るまでの経緯を記者が聞く中で出た。トランプ氏が
「安倍首相夫人の隣に座っていた。安倍首相はいい男で夫人もいい女性だと思うが、夫人は英語を話さなかった」
と説明したのに対して、記者が「全く話さなかったのか」と確かめると、トランプ氏は
「『ハロー』も言わなかった」
と応じた。それに対して記者が
「それは気まずい席でしたね」
と返すと、トランプ氏は「厳しかった」と話した。
だが、直後に異論が噴出した。昭恵氏は14年9月、ニューヨーク・フォード財団の防災シンポジウムでスピーチを行っており、その動画が拡散。ニューズウィークは、ウェブサイトで動画を紹介しながら、
「昭恵氏は英語が話せるかもしれない」
と指摘しながら、
「トランプ大統領と話すのを避けるために、2時間近く英語を話せないふりをしていたのでは」
といったツイッターの声を紹介した。
カナダ紙「女性に対する失礼なふるまいの数々の記録がある」
カナダの日刊紙、ナショナル・ポストも
「英語を話せないふりをしたように見える」
と、同意見だ。同紙はその理由を
「もしそうだとすれば、昭恵氏には十分な理由がある。トランプ氏には、女性に対する失礼なふるまいの数々の記録があるからだ」
と指摘している。その一例として、トランプ氏が7月13日にパリを訪問した際、マクロン大統領のブリジット夫人に対して雑に握手をした上に
「いい体だ。美しい」
と言い放ったことを挙げた。
ニューヨーク・タイムズのモトコ・リッチ東京支局長は、ツイッターでトランプ氏の発言が「ウソ」だと指摘した。
一方、ワシントン・ポストによると、ワシントンの日本人記者や外交官の間では昭恵氏の英語力をめぐる「推測合戦」が展開されているという。過去の訪米時には昭恵氏が通訳を介して話したり日本語でスピーチしたりしたことが多かったことを指摘しながら、
「あまり上手くは話せない。『ハロー』や、若干のあいさつ程度は話せるだろうが、社交辞令以上の会話ができるかどうかは、ちょっと分からない」
という、日本のテレビ局の米国人アシスタントの声を伝えている。