「社会問題として提起できるコンテンツ」に
なぜ、痴漢を体験できるVRコンテンツを開発しようと考えたのか。金さんは取材に対し、
「ほとんどの男性にとって、痴漢をされることは一生ありません。そこで、痴漢される側の気持ちが理解できるという、社会問題として提起できるコンテンツを考え付きました」
と話す。こうしたアイデアを膨らませて開発したのが、今回の「痴漢VR」だという。
コンテンツの狙いは、(1)痴漢問題に関する男女の相互理解を深めること(2)様々な角度からリアルに痴漢の状況を再現できることから、犯罪抑止の目的でも活用できること――の2点。今後の展開について聞くと、
「まずはコンテンツの改良を進めていきたいです。現状では、モーションキャプチャーの装着などの準備に時間がかかってしまうのですが、それを改良し、より多くの人が簡単に体験できる形にできれば。また、今回は痴漢でしたが、殺人事件などもVRで再現し、よりリアルな形で現場の状況を検証できるようなシステムにも応用できるかな、と考えています」
と話す。その上で、「ひとまずは、犯罪抑止キャンペーンなどのイベントでも積極的に展示利用できるようなツールを目指していきたい」との抱負を語っていた。