子供たちのネット信頼度は過去最低 テレビは過去最高にネットで「代理店の陰謀か?」

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   子供たちのインターネット信頼度は過去最低、テレビの信頼度は過去最高という調査結果が博報堂から出た。「インターネットの話は本当のことが多い」は2007年が40.8%だったのに対し、17年は29.0%だった。

   テレビは同57.5%から71.3%に上昇していて、ネット民からは広告代理店の恣意的な情報操作、などといった批判が出ているが、専門家は「これが子供たちの現状だ」と説明している。

  • 各媒体の信頼度推移のグラフ(写真は博報堂のプレスリリースより)
    各媒体の信頼度推移のグラフ(写真は博報堂のプレスリリースより)
  • 各媒体の信頼度推移のグラフ(写真は博報堂のプレスリリースより)

ネット信頼は29.0%テレビは75.1%

   博報堂は10年に1回行っている調査「こども20年変化」(初回調査は1997年) の結果を17年7月18日に発表した。それによれば、「テレビの話は本当のことが多い」は同57.5%から71.3%。ラジオは同66.1%から75.1%。雑誌は60.4%から64.8%とそれぞれ上昇した。新聞は同90.8%から88.3%と減ったが高値安定だ。一方で、「インターネットの話は本当のことが多い」は10年前の40.8%に対し29.0%に激減した。この調査は17年2月15日から3月21日にかけ、首都40キロ圏内の小学4年生から中学2年までの男女800人に対して行った。

   どうしてインターネット信頼度は過去最低、テレビの信頼度は過去最高になったのか。J-CASTニュースが博報堂に7月20日に取材したところ同社広報は、調査担当者の分析は以下の通りだと説明した。

   まず、子どものインターネット利用度は増加し、様々なコンテンツに触れて楽しんでいるが、ネットにべったり依存・何でも鵜呑み、ではなく適度に距離感を保っていて、ネットで知る情報が、新聞やテレビが1次情報だということを分かっている。テレビで流れる情報は「公式」からのものが多く、ネットの情報は「公式」「非公式」の発信がないまぜだということも分かっている。こうしたことがテレビの信頼度のスコア押上げにつながったと推察している。さらに、「問題サイト」「フェイクメディア」が指摘されネットへの警戒意識が高まった。07年は「2ちゃんねる」などのネットマナーの問題はあったが、ここまでネットの偽情報が問題にはなっていなかった、という。

メディアの種別分けを子供に押し付ける意味はない

   この発表にはネット上で異論の声があがり、

「テレビの話は本当のことが多いってwwwwwwwwwwwww」
「ギャグだろ? 本気で言ってんのか?博報堂が」
「子供なんて、そんなものだよ。テレビや新聞が嘘をつくという発想はなかなか持てないよ」

などといった事が掲示板に書き込まれ、「陰謀説」まで飛び出した。一方で、

「ネットが工作だらけになったからな。ネットvsテレビで、ネットが正義の構図は、10年前の話」
「今の子どもにとってはネットは信用できないのは当然だよ 。裏でコソコソ悪口言い合うツールなんだから」

という意見も出た。

   ITジャーナリストの井上トシユキさんに20日に話を聞いたところ、ネット民がこの調査結果に反発する気持ちは分かるが、テレビにとってネットの信頼度が下がることは歓迎できることではない。ネットの口コミでテレビ番組の評判が上がる、といったPR手段を失うことになるため「陰謀」などはない、と否定した。実は井上さん、17年初頭に小学5年生のネットに関する特別授業を受け持っている。そこで分かったのは、学校や親がネットリテラシー教育を熱心に行っていること。そして生徒はネット上のデマや嘘が身近にあることを知っていた。

   テレビに関しては、親は地上波のバラエティー番組ではなく、BS、CS放送のニュースや討論番組、時事解説番組を見せている。

「テレビは真面目だなぁ、という印象が子供に付いている。テレビは地上波、ネットは玉石混交と言われたイメージとは違う立ち位置にいるんです」

と井上さんは語った。そして今回の調査結果については、テレビがいいのかネットがいいのか、そうした判断の中で、

「極端に数字が振れることになってしまった」

と分析している。そして高校生になれば、ネットとテレビの利用の仕方が分かってくる、とも。

「彼らはデジタルネイティブなわけで、リテラシーは自然に付いてくると思います。だからテレビは本当の事が多いとか、ネットはダメだとか、そうしたメディアの種別分けを子供に押し付ける意味はないのです」

と井上さんは話している。

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