労働時間に固執してきた連合の「自業自得」
当たり前の話だが、会社がホワイトカラーの従業員一人あたりに払える賃金は労働時間によらず、だいたい決まっているから、働いた時間に応じて払うのであれば、基本給ほかを抑えつつ、残業代用の資金をプールしておかねばならない。その残業代の部分が減ったのだから、これが実質的な賃金カットになったというわけだ。
そして、それはこれまで頑なに「ホワイトカラーであっても席に座っていた時間に応じて時給を支払われるべきだ」と、労働時間に固執してきた連合の「自業自得」である。「高プロ」制度をめぐる連合の方針転換は、その現実を遅まきながら、連合自身がようやく認めたということだろう。
ちなみに、政労使のあいだで月100時間を軸に議論が続けられている「残業時間の上限」については、筆者は思い切って「残業上限月50時間」くらいにするのがいいと考えている。
そうなると残業代を当てにしている組合員は、生活が維持できなくなるだろうから、連合はイヤでも「時間ではなく成果で評価する仕組み」を導入せざるを得なくなるし、その対象も大きく拡大されることだろう。
もちろん、過労死も激減するはずだ。
というわけで、連合をさらにやる気にさせるためにも、「残業カット=残業代カット」の流れをどんどん後押しするべきだ。
(人事コンサルタント・城繁幸)