中国では、政府の批判などにつながるようなキーワードが、検索エンジンやSNSから「消える」ことは日常茶飯事だ。たとえば、2017年7月13日に民主活動家・劉暁波氏が亡くなった直後には、追悼の書き込みが次々と削除され、話題になった。
ところが、最近「消えた」のは「くまのプーさん」という、およそ政治的とは思えない言葉だ。しかも、それには日本の安倍晋三首相もからんでいるという。
オバマ元大統領は「ティガー」
実際に、中国の代表的なSNS「微博(ウェイボー)」を見てみよう。習近平国家主席の名前で検索すると、習主席に関するニュースなどが表示される。また、「プーさん」の中国版タイトル「小熊維尼」と打ち込んでも、問題なく画像などが出てくる。ところが、「習近平 小熊維尼」と続けて入力すると、
「関連の法律法規と政策により、検索結果は表示されません」
とのメッセージが。
海外メディアなどの報道によれば、最近、ウェイボーを含む中国のウェブサービスで、「プーさん」を含む書き込みができない、プーさんの画像が使えなくなる、などの事態が続出しているという。
理由は、中国のネットで以前から、習主席を「プーさん」になぞらえて皮肉る投稿が続いていたからだ。恰幅のいい体型、丸顔で小さめの目など、確かにプーさんに似ていなくもない。特に2013年、米国のオバマ大統領と会談した際には、2人が並んで歩く写真と、プーさんと虎の「ティガー」が歩くイラストを組み合わせた画像が「そっくりだ」などとして拡散した。
これまでも、こうした画像はたびたび削除されてきたが、その規制がさらに強化された形だ。英BBCは、5年に1度の中国共産党大会を17年秋に控え、習主席の権威を強化するための処置では、との見方を示している。