「スイッチを無料で贈らせて頂きたい」
今回の騒動で少年は、必死に貯めた小遣いをだまし取られた挙句、ネット上でも批判に晒されることになった。だが、こうした辛い状況に落ち込んだ少年に同情し、「救いの手」を差し伸べる大人が現れた。
それは、あるゲーム会社で取締役を務める男性ツイッターユーザーの「某ゲーム会社の末端作業員M」(@cgc_game_create、以下「M」)さんだ。彼は悲嘆に暮れる少年の投稿を見て、ツイッターで次のようなDMを送った。
「投稿を見て、何かできることは無いかなぁと考えた時、私に出来るのは今後ゲーム業界を支えていく子供達にゲームを少しでも遊んでもらう事だと思いました。なので、私からの少ない気持ちですが、スイッチを無料で贈らせて頂きたいと思います」
そして、少年の元には7月18日、本当に新品のニンテンドースイッチが送られた。少年は贈られてきたスイッチの写真をツイッター上に公開するとともに、Mさんへの感謝の言葉を繰り返しつづっていた。
品薄が続くスイッチは、オークションサイトなどで定価(税別2万9980円)を大幅に上回る4万円超のプレミア価格で取り引きされている。なぜ、こうした高価なゲーム機を見ず知らずの少年に送ったのか。
「M」さんは18日のJ-CASTニュースの取材に対し、過去に少年と同じようにゲーム機をめぐる詐欺に引っかかり、代金を支払ったのに商品が届かなかった経験があると明かす。その時は、Mさんに同情した友人が、同じゲーム機をプレゼントしてくれたそうだ。
今回、少年にスイッチをプレゼントした理由は、こうした過去の経験に基づくものだという。Mさんは取材に対し、
「私は困った時に何度も助けられてきて、少年の様子を見て、過去の自分がフラッシュバックしました。『今ここで、かつて自分を救ってくれた人間になれたら』と、気づいたら動いていました」
と話す。また、詐欺アカウントを信じて代金を支払った純粋な少年をただ批判するネットの動きを見て、どうしても「この子を救う」必要があるとも考えたという。