初期症状が風邪と似ていて勘違いしがち
実は福井さんのケースのように、最初からツツガムシ病と診断するのは極めて難しいという。噛まれた直後の傷跡を見ても分かりにくいうえ、初期症状が発熱やだるさ、筋肉痛と風邪と非常に似ており、患者側が勝手に判断して市販の風邪薬で対処しようとしてしまうのだ。こうして時間が過ぎ去り、症状が急激に悪化したころには1週間経過していた、ということもあり得る。
行楽シーズンとなる夏場は特に、ツツガムシ対策が必要だ。しかも、それほど大変ではない。
ツツガムシは土の表面や枯葉の表面に生息しているので、山や河川敷では素肌を出さないのが鉄則だ。そのうえで、草むらに入った日は帰宅したら、すぐに体を洗い流そう。ツツガムシに噛まれてから細菌が体内に侵入するまで、およそ10時間かかると言われる。感染の確率を減らすには最も効果的な方法なのだ。特に内またやわきの下、下腹部と皮膚が柔らかい部分は、念入りに洗おう。衣服もすぐに洗濯する。
ツツガムシ病の発生は年々増加傾向だ。特に高齢者は、近年の家庭菜園やハイキングのブームで、ツツガムシに遭遇する機会が増えており、注意したい。万一「変だな」と思ったらすぐに医師の診察を受け、その際には「山へ行った」「農作業をした」といった情報を提供すると、医師がツツガムシ病を見抜くための重要なかぎになる可能性が高まる。