対照的なマックとモス 株価、好不調の分かれ目は...

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   ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービスの株価が伸び悩んでいる。鶏肉偽装問題など不祥事を連発して一時客足が遠ざかった「マクドナルド」を運営する日本マクドナルドホールディグス(HD)の株価が、足元で年初来高値を更新しているのと対照的。人手不足や人件費の上昇、物流費の高騰などで2018年3月期に減益を予想する点が嫌気されているのが基本的な要因だが、そうした経営環境は外食産業に共通する話。マックの復活がモスフードの株価にも影響を与えているようだ。

   モスバーガーは国内首位のマックに次ぐ2位のハンバーガーチェーンだ。2017年3月末の国内店舗数は前年同期比8店減の1362店。近い将来の店舗数増加に向けた「準備期間」と位置づけ、3月までの1年間の出店は25店舗で閉店は33店だった。ちなみにマックの17年3月末の国内店舗数はちょうど2900店。不祥事以降、不採算店を閉めているが、それでもモスバーガーの2倍以上で存在感は大きい。とはいえ、同じ17年3月末の国内牛丼チェーン2位の「吉野家」の店舗数が1204店であることを思えば、モスバーガーもなかなかのものである。モスバーガーは18年3月期も店舗配置の精査を進める計画で、出店25店舗に対し、「立地上の使命が終了した店舗」35店を閉店し、18年3月末は前年同期比10店減の1352店とする方針だ。

  • マクドナルドとモスフードの株価は対照的だ(画像はイメージです)
    マクドナルドとモスフードの株価は対照的だ(画像はイメージです)
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「成長途上」の海外展開

   モスバーガーはアジア各国など海外でも展開しており、17年3月末の店舗数は336店。ただ、このうち親日家の多い台湾が247店と4分の3近くを占めており、今後の成長が見込める東南アジアなどへのさらなる出店が課題だ。いずれにせよ「400店」の目標を掲げる海外部門はモスフードの経営の屋台骨を支えるまでにはなっていない。また、国内でも、摘みたて紅茶と焼きたてワッフルのカフェ「マザーリーフ」や新鮮な野菜を使った和風レストラン「あえん」、フードコート向け本格パスタ店「ミアクッチーナ」などモスバーガー以外の店舗も運営しているが、全部合わせて40店余りにとどまるだけでなく17年3月期に4億円の営業赤字を計上しており、良く言って「成長途上」だ。

   モスフードの17年3月期連結決算は、売上高は前期比0.3%減の709億円と微減だったが、純利益は33.5%増の30億円と好調。営業利益、経常利益ともに22.0%増だった。国内外のモスバーガーの売り上げは横ばいだったが、想定より円安が進まなかったことによる仕入れコストの抑制が原価低減につながり、利益を押し上げた。

   ただ、18年3月期の業績予想は売上高が前期比0.4%増の712億円と微増の一方、純利益は24.6%減の23億円を見込む。17年3月期のような為替要因がなくなる半面、人手不足によるコスト増が利益を圧迫する。

「置いていかれ感」がある

   モスフード株の年初来高値は1月4日と5月8日につけた3580円。17年3月期決算と18年3月期の業績予想の発表が17年5月11日で、これ以降は年初来高値に届かなくなっているわけだ。株価は3400円前後で推移しているので、大崩れはしていないが、他の外食銘柄の株価が好調なのに比べると「置いていかれ感」がある。

   例えば日本マクドナルドHD。17年1月4日の終値は3045円で、一本調子に上がって連日年初来高値を更新し、7月14日の取引時間中の高値4500円は過去10年を振り返っても最も高い。市場の成長期待を集めていると言って良さそうだ。外食と言えば吉野家ホールディングスも代表的な銘柄だが、こちらも7月14日の取引時間中の高値2019円は過去10年の最高値だ。2017年3~5月期連結決算の大幅増益が素直に好感されている。ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」を展開するロイヤルホールディングスは過去10年どころか過去25年にない高値圏にある。それぞれ足元の業績が評価されている。

   マックの株価上昇の背景には15年12月以降、既存店売上高が17年6月まで17か月連続でプラスを維持していることがある。15年12月(8.0%)以外はすべて2ケタ増と急激な業績回復だ。気になるのは、以前はモスバーガーの「少し高いが健康志向」に対し、マックが「早い安い」志向だったが、ここへきてマックも値が張った商品を前面に出し、野菜を多用した健康志向を打ち出すなど、モスバーガーのお株を奪う戦略を打ち出し、支持されていることだ。モスフード株が伸び悩む背景にマックの好調があるのは間違いなさそうだ。

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