2017年3月の発売以来、品薄が続いている任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」(以下、スイッチ)の購入希望者を狙った詐欺行為が、ツイッター上で横行している。
ツイッター上に寄せられた複数の「被害報告」によれば、その手口は共通している。いずれも、購入希望者にプリペイド式の電子マネーで代金を「先払い」させ、商品を送らずに金銭だけをだまし取るという流れだ。J-CASTニュースが話を聞いた被害者の10代女子学生は、「(だまし取られたのは)私が持っていたほぼ全てのお金だった」と話す。
スイッチ詐欺の手口は...
スイッチの品薄は深刻で、ネット上では同ゲーム機を手に入れられないユーザーのことを指す「スイッチ難民」という言葉が登場するほどだ。実際、7月17日にヨドバシAkiba(東京・秋葉原)で行われた抽選販売会は、計250台用意された商品を求め、3000人以上が抽選に参加する盛況ぶりだった。
こうした品薄状態の中、ツイッター上では7月中旬頃から、スイッチを利用した「詐欺被害」に遭ったことを報告する投稿が複数件出ている。こうした被害報告を見る限り、いずれも手口は同様で、その流れは次のようなものだ。
まず、詐欺を行うアカウントは、
「抽選でスイッチを定価より安く販売します」
などとして、購入者希望者を募集するツイートを投稿する。この告知に集まったユーザーが、詐欺の「標的」になるわけだ。
詐欺アカウントは続けて、ツイッターのDM(ダイレクトメッセージ)を通じて購入希望者に連絡を取り、コンビニなどで購入できるプリペイド式電子マネーでの「先払い」を要求する。仮に購入希望者が先払いに応じた場合、何らかの理由をつけて商品を送付できなくなったとして、結果的に金銭だけをだまし取るという手口だ。
なかには、相手に代金を先払いさせるため、スイッチ本体の写真や偽の住所・氏名、ネット上から拾った他人の免許証画像を見せるなどして、詐欺アカウントが自らを「信頼できる取引相手」のように偽装するケースもあった。
要求金額は、スイッチの定価(税別2万9980円)前後が中心。ただ、オークションサイトの落札情報サイト「aucfan.com」によれば、スイッチの平均落札価格は約4万2000円(7月18日時点)と高騰している。そのため、定価と変わらない値段を呈示されても「好条件」だと感じてしまい、取引に応じてしまうユーザーが出ているようだ。
「私が持っていたほぼ全てのお金だった」
実際、スイッチを販売するという複数のアカウントと連絡を取ったが、いずれも電子マネーでの先払いを要求されたため、「詐欺の可能性が高い」として取引をやめたという24歳男性は18日、J-CASTニュースの取材にツイッターを通じて応じ、
「(確認のため相手の)免許証や住所を聞くと、すぐにブロック(編注・ツイッターの機能で、相手との連絡を拒否するもの)するアカウントが多かったです。1つの告知ツイートで数名が釣れているような状況だと思うので、誰かが払ってくれればラッキーといったような余裕は相手から感じました」
と振り返る。だまされて代金を先払いしてしまうユーザーが出ていることについては、
「スイッチがどうしても欲しい方にとっては、いい条件だと錯覚してしまう。目の前に欲しいものが好条件であった場合は誰でも心が揺れるものだと思います」
と理解を示していた。
また、被害に遭って3万円をだまし取られたという10代の女子学生は取材に対し、
「私が持っていたほぼ全てのお金だったので、 どうにかしてお金を取り返したいです」
と振り返る。すでにツイッター上では、スイッチを利用した詐欺被害に遭ったとして、警察に被害届を出したと報告するユーザーが複数出ている。ただ、この女子学生は、
「私は親に内緒で、Twitterを禁止されていたにも関わらず、Switchが欲しいが為にTwitterを始め、更にはお金まで払ってしまったので。親にも相談できておらず、警察に行きたいけれど行けていません」
とした。さらに続けて、
「私を詐欺した人は何人も被害者を出しています。成人していない子供が多く引っ掛かっているみたいなので、私のような警察に行けていない被害者がまだ居ると思います」
とも訴えていた。