連日30度を超えるような真夏日が続き、本格的に夏であることを感じさせる。夏といえば気になるのは日焼けだろう。
大人の日焼けは特に女性にとっては気になるところだが、子どもの日焼けというと小麦色に焼けて健康的というイメージを持っている人がいまだに少なくないのではないだろうか。
日本だけでなく英国でもその「誤解」は根強いようで、「英国営保健サービス(NHS)」が注意喚起をしている。
国に関係なく日焼け防止が重要
NHSは2017年6月27日に公式サイト上で、「子どもにも日焼け止めを塗り茶色く焼けることがないように」と呼びかけた。11歳以上の子どもを持つ1000人の保護者を対象にしたアンケートで、3分の1が「小麦色に日焼けするのはいいことだ」と誤解していることがわかったためだという。
NHSによると10人に1人は外出時には子供に日焼け止めを塗ると回答していたが、5人に1人が「日焼け止めを塗るのは子どもの肌が(日光で)赤くなってしまったとき」と回答。日焼けの深刻さを理解している保護者が少ないと危機感を示しているのだ。
さらに茶色く焼けた肌は日焼けを防いでくれると誤解している保護者も多くNHSは、
「茶色く焼けた肌は紫外線によって傷ついた皮膚が、なんとか防御しようと反応している証拠」
とし、茶色くなってしまっては手遅れだと問題視する。白人種と黄色人種では肌の色が違うのだから同じように警戒する必要はないのでは、と考えるかもしれないが、日本皮膚科学会も同様の指摘をしている。人種の違いが日焼け防止を軽視する理由にはならないようだ。
では、国の違いはどうだろう。紫外線は赤道に近いほど強くなり、離れるほど弱くなる。日本の位置であれば問題はないのではないか。環境省が発表している「紫外線 環境保健マニュアル2015」を見ると、札幌と那覇ですら紫外線量は2倍近く差がある。
しかし、環境省は場所に関係なく3~10月は日焼け防止を徹底するよう忠告する。皮膚科学会も、少量の紫外線でも長年にわたって浴び続ければ腫瘍が発生するリスクを高めると警告。
「小麦色の肌を求めて海岸で身体を焼くというような、不必要な日光浴は避けるべきです。特に、小児期から無用な紫外線暴露を避ける生活態度が望まれます」
と子どもの日焼け対策の重要性を説いている。
NHSは「紫外線は感じることができないので、温度や時期、場所に関係なく日焼けをするのは簡単」だとし、6か月未満の乳児は常に直射日光を避け、子どもは3~10月にかけて衣服で肌をおおい、11~15時の間はなるべく日陰で過ごし、少なくとも「SPF15」表示の日焼け止めを塗るよう呼びかけていた。
ビタミンDのために紫外線は必要か
紫外線を浴びることでビタミンDが合成されるというメリットもある。日焼け防止によってビタミンDは不足しないのか。皮膚科学会は、
「敢えて日光を浴びなくても日常生活で知らず知らずに浴びてしまう程度の紫外線で(ビタミンDは)十分賄われ、食物からも摂取できますのでまず不足することはありません」
としているが、「日本人の食事摂取基準」などを見ると1日の必要量10~25マイクログラムを食事で確実に摂れている人は少ないようだ。ある程度の日光は必要にも思える。
環境省の「紫外線 環境保健マニュアル2015」では「何分日光浴をすればいいのか、はよくある質問」としつつ、個々人の状態や環境などの諸条件によって左右されるので一律に時間を決めることはできないと解説。地域や季節、時刻などで判断することが必要との前提つきで、1日に必要なビタミンDの半分(10マイクログラムと仮定)を産生するのに必要な時間は、
「標準的な日本人が、皮膚の25%(概ね、両腕と顔に相当)を日焼け止めをせずに露出して、東京都心で8月1日の昼ごろ、 雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間」
とし、同様に1月1日の昼ごろ外出すると約50分と推算している。少なくともこれからの季節、ビタミンDのために長時間散歩をする必要はなさそうだ。