料理のスパイスなどによく使われるハーブのフェンネルが、女性の更年期障害のほてり(ホットフラッシュ)や不眠、不安の症状の改善に効果があることが北米更年期学会(NAMS)の研究班の調査でわかった。
研究成果は、同学会の機関誌「Menopause」(電子版)の2017年5月17日号に発表された。
肉料理の臭み消しや菓子・酒の香り付けに
フェンネルは地中海沿岸が原産、茎葉やタネに芳香があるため、欧米ではハーブやスパイスとして利用されてきた。また、民間療法の咳止めや利尿にも用いられている。日本には平安時代に入ってきた。完熟寸前のタネを収穫、天日に干したものを「茴香」(ういきょう)と呼び、漢方の痰切りや胃薬に使われている。最近では、さわやかで甘みのある芳香が料理にも利用され、魚や肉料理の臭み消しや、菓子・酒の香り付けに利用されている。
北米更年期学会の同日付プレスリリースによると、研究チームはイラン・テヘランの45~60歳の女性79人を対象にフェンネルが更年期障害の改善に与える影響を調べた。79人を2つのグループに分け、一方にフェンネル100ミリグラムを含むソフトカプセルを1日2回8週間飲んでもらい、もう一方にプラセボ(偽薬)を同じ量・同じ期間飲んでもらった。そして、ホットフラッシュ(ほてり)・膣乾燥・睡眠障害・疲労・関節と筋肉の不快感・過敏症・うつ症状・不安感などの更年期障害の症状について、実験開始から4週間後、8週間後、さらに実験終了2週間後の3回にわたって聞き取り調査を行なった。
フェンネルを飲んだ人は、飲まなかった人に比べ、明らかに更年期症状が改善し、しかもその効果が実験終了後も続いていた。しかも、特にこれといった副作用もなかったという。
フェンネルには、女性ホルモン(エストロゲン)と同じ働きをする植物性エストロゲンが豊富に含まれている。更年期障害には、体内で不足する女性ホルモンの補充療法が行なわることがあるが、それと同じ効果があるようだ。
同学会の事務局長ジョアン・ピンカートン博士は、プレスリリースの中でこうコメントしている。
「今回は少人数のパイロット研究ですが、フェンネルが副作用もなく大きな効果を上げる可能性があることがわかりました。これから大規模な長期の研究を行ない、フェンネルの有効性を確かめていきたいと考えています」