お風呂上がりに使う「バスタオル」は、生活必需品――そう思っている人には、ちょっと意外な事実だ。実は、バスタオルを一切使わない、という人が、世の中には相当数いるのだという。
「家のバスタオルを全部捨てたら、いいことがたくさんありました」――2017年7月7日、ニフティ(東京・新宿区)が運営するウェブメディア「comorie(コモリエ)」に、こんなコラムが公開された。
「ないといけないと思っていたけど...」
筆者は、専業主夫で漫画ブロガーの「ムーチョ」さんだ。
ムーチョさんの家庭では、会社員の妻や2人の娘も含め、これまでバスタオルを愛用してきた。しかしムーチョさんには、こんな疑問が浮かんだというのだ。
「ゼロベースで考えてみたら、バスタオルって実は一般家庭にはそこまで必要なアイテムじゃないんじゃないか?」
ムーチョさんはJ-CASTニュースの取材に、こう語る。
「4人家族なので、洗濯物もすごく多いんですが、バスタオルはかなり体積を取ってしまいます。バスタオルで身体を拭くのが気持ちいい、というのは前提条件としてありますが、それはそんなに大切なことでしょうか?」
洗濯はもちろんのこと、干すときに場所を取る、値段などなど、バスタオルには意外と「コスト」がかかる。そこでムーチョさんは、「バスタオル・フェードアウト作戦」を決行、バスタオルをすべて捨て、フェイスタオルにすべて切り替えてしまったという。値段的にも、洗濯時の手間も、2枚使ったとしても「バスタオルより全然少ないです」。
「バスタオルは絶対家に置いていないといけない、と思っていましたが、なくなってみると、まったく問題ないですね」――ムーチョさんはそう断言する。
「断捨離」ブームの中で「バスタオル離れ」
こうした「卒バスタオル」は、決して珍しいケースではない。ここ何年か人気の、いわゆる「断捨離」「ミニマリスト」などの生活術を扱った本でも、バスタオル不要論は複数取り上げられており、「僕の周りでも、使ってない人増えていますよ」とムーチョさんも語る。
上記の記事はフェイスブックでも、2500回以上シェア・いいねされたが、
「私もフェイスタオル派!楽ですね」
「我が家は!このスタイルにしてから7~8年。バスタオルは乾きも悪いし...何せ干すのに場所を取るし...。ストレスフリーなので!もう戻れません」
といった賛同の書き込みが目立つ。
実際、バスタオルを使わない人はどれくらいいるのだろうか。
ライオンが2017年2月に発表した「タオル利用に関する意識調査」では、お風呂上がりに「思い通りのタオルを使えていない」とした人(全体500人中の76.8%)のうち、79.2%が「小さめ」または「薄め」のタオルを使っていたという。このすべてがフェイスタオル派とは断言できないが、ライオンではこの層を「バスタオルあきらめファミリー」と定義、やはり洗濯の際の「乾きにくさ」が大きな要因になっていると分析している。
九州人はなぜかバスタオルを使わない!?
給湯器など風呂関係の製品を扱うノーリツが2015年11月にまとめた「おふろ白書」では、「フェイスタオル」派が26.6%に達するとの調査結果が掲載されている。さらに、この比率には地域的な特性があり、関東では25.0%に留まったのに対し、九州では52.4%と過半数に達する。
ノーリツの広報担当者に尋ねてみると、「あくまで推測ですが」と前置きしつつ、こうコメントした。
「北海道など東日本の方がバスタオル率が高いことも考えると、気温も関係しているのかもしれません。また、一人暮らしの人はバスタオルの利用者が多い傾向があるので、単身者や核家族が多いであろう関東との差は、そのあたりにあるのかも......」