お母さんの母乳をゴクゴク飲む赤ちゃんほど、健康で幸せな存在はこの世にいないが、母乳はママにも幸せをもたらす。
母乳を与える行為はママの健康にも貢献し、子宮体がん(子宮内膜がん)の発症リスクを低くしていることがわかった。豪州クイーンズランド大学などの研究チームが、産婦人科専門誌「Obstetrics Gynecology」の2017年6月号に発表した。
母乳育児のママは子宮がんリスクが11%低い
もともと母乳育児の女性は、人工ミルクを授乳する女性に比べ、子宮体がんや卵巣がん、乳がんになりにくいといわれてきた。これらのがんの発症には、女性ホルモンのエストロゲンが関わっているといわれ、母乳を与えるとエストロゲン値が低くなるからとみられる。
同誌の論文要旨によると、母乳育児と子宮体がんの発症リスクの関連を調べるため、研究チームは子宮体がんについて発表された過去の17本の論文を分析した。論文の中から子宮体がんの患者8981人と、子宮体がんではない女性1万7241人を対象に選び、母乳育児かどうかを比較し検討した。
その結果、母乳育児の女性は、そうではない女性に比べ、子宮体がんの発症リスクが約11%低かった。また、母乳育児期間が長い女性ほどリスクが低くなり、母乳育児期間が6~9か月間の人が一番リスクは低くかった。ただし、それ以上長く母乳を与えると、逆にこの影響が弱まる傾向もみられた。
この結果について、研究チームでは「調査は観察研究」として、なぜ母乳を与えると子宮体がんの発症リスクが減るのか、因果関係を説明していない。しかし、論文要旨の結論でこうコメントしている。
「私たちの知見は、母乳育児が子宮体がんを軽減することに役に立っている可能性を示しています。母乳育児が母親の利益になる多くのリストの中に、がんの予防を追加できるでしょう」