大画面のテレビ、カラオケ、マッサージチェア......。こうした豪華な設備を揃えたラブホテルに1人で宿泊する「一人ラブホ」という利用法が、いまジワジワと注目を集めている。
「一人ラブホ」が注目を集める理由は何なのか。今回J-CASTニュースは、これまでに3000軒以上のラブホを利用したという「ラブホテル評論家」の日向琴子さんに「一人ラブホ」の魅力を尋ねた。
「普通のホテルと同じように利用できる」
「一人ラブホ」について、まず注意したいのが「すべてのラブホテルが一人で利用できるわけではない」こと。風営法に該当するラブホテル(日向さんによれば、これはいわゆる昔ながらの『カップル用ホテル』のイメージが近いという)では、基本的に単独客の利用を断っている。そのため、
「ラブホテルの利用情報をまとめているウェブサイトもあるので、利用前にしっかりと確認することが大事です」(日向さん)
としていた。
続けて、「一人ラブホ」の魅力について日向さんに聞くと、
「まずはコスパの良さでしょう。安価な値段で、広いお風呂や豪華なアメニティなど充実したサービスを受けられるのが魅力です。また、立地も繁華街の中心にある場合が多く、旅行などの際には便利なんです」
と説明する。なかには、食事代が宿泊料金に含まれたラブホや、チェックイン前にフロントへ手荷物を預けられるラブホもあるといい、「本当に、普通のホテルと同じように利用できるところも増えています」としていた。
では、「一人ラブホ」を利用する人の数はどれだけ増えているのだろうか。日向さんは「やっぱり、抵抗を感じる人が多いのも確かですよ」とした上で、
「ここ数年で、やや増えたくらいですかね」
と分析する。その一方で、単独客を積極的に歓迎するホテルは多い。従来のカップル客の利用が減少する苦しい経営環境の中で、新たな顧客層の開拓のため「一人客」に目を付けたホテルが増えているというのだ。
ラブホ「一人客歓迎」サービスとは
その一つが、大阪・ミナミの「ホテルハイパーノア」だ。
同ホテルでは、3年ほど前から出張で訪れた会社員をターゲットにした時間設定の「ビジネスプラン」を導入。周辺のビジネスホテルよりも安価な1泊5000円以下の宿泊料で人気を呼び、1日あたり数組の一人客を獲得しているという。ホテルの担当者は2017年7月13日のJ-CASTニュースの取材に対し、
「本当はカップルだけで(全室が)埋まるのがベストなんだけれど、やっぱり業界が全体的に厳しいから。一応、領収書にもホテル名じゃなくて運営会社の名前を書くとか、ビジネスマンが使いやすいように工夫していますよ」
と話す。その他、同ホテルでは17年4月から「外国人観光客」向けのサービスも導入。外国人には、チェックイン時に英語と中国語で書かれた冊子を配布しているという。
また、京都市にある「ホテルロータス オリエンタル」には、パソコン設備とWi-fi環境、朝刊の無料サービスも揃えた完全にビジネスマン向けのプランがある。
このプランの価格は1泊7500円(最安値、時期により変動)で、ホテルまでのタクシー代もホテル側が負担(最大1000円まで)してくれる。ウェルカムフードとドリンクに加えて、朝食も無料。和洋25種類のメニューから好きな朝食を選ぶことができる。まさに、至れり尽くせりのプランだ。
日向さんイチオシ「ラブホノマド」とは
日向さんによれば、先述したようなプランの充実度から、やはりラブホに一人で宿泊するのはビジネスマンが多いが、それ以外にも、
「地方に遠征することが多いアイドルやアーティストのファンの中にも、ラブホテルを利用する人がけっこう多いです」
という。こうした利用客は、深夜バスなどで移動した後に数時間の「休憩コース」でラブホを利用し、仮眠したりメークを直したり......そんな使い方をしているそうだ。
なお、日向さんが数年前からオススメしているのが「ノマドワーク」(オフィスだけでなく様々な場所で仕事をすること)の場としてのラブホ利用だ。日向さんは、
「静かな場所で集中できるし、広いお風呂にベッドと気分転換も簡単にできます。私は漫画家としても活動しているのですが、ネームを考える際などによく利用しています。結構、はかどりますよ」
と「ラブホノマド」をお勧めしていた。