「子宮頸がんワクチン」男に接種のわけ ウイルスが体内に残るとさまざまながんに

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   AV男優のしみけん(37)さんが「HPVワクチン」を接種したと、2017年6月15日に自身のツイッターに投稿していた。

   HPVワクチンは女性がり患する「子宮頸がん」の予防ワクチンというイメージがあるが、しみけんさんは男性が接種することで尖圭コンジローマや肛門がん、咽頭がんの予防が期待できると語っている。

  • 海外では男児にもHPVワクチン接種推奨の流れが(画像はCDCのファクトシートサイトより)
    海外では男児にもHPVワクチン接種推奨の流れが(画像はCDCのファクトシートサイトより)
  • 海外では男児にもHPVワクチン接種推奨の流れが(画像はCDCのファクトシートサイトより)

HPVは男女関係なく感染するウイルス

   HPVとは「ヒトパピローマウイルス」を指す。厚生労働省のウェブサイトによると、100種類以上の型がある一般的なウイルスで、

「性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するといわれ、感染しても多くは自然に排出されます」

と説明している。

   それなら問題はなさそうだが、厚労省は「高リスク型HPV」と呼ばれる型のウイルスが体内に残ってしまった場合、子宮の入り口部分である子宮頸部にがんが発生するリスクが高まると警告。また、肛門がんや膣がん、尖圭コンジローマも高リスクになるという。

   HPVワクチンの接種で、こうした病気のリスクを減らすことができる。しかし、男性には子宮がない。HPVに感染すると、どうなるのか。

   厚労省は男性への影響は言及していなかったため、海外の保健衛生機関を確認したところ、米国疾病予防管理センター(CDC)のサイト上で「HPVと男性」というファクトシートが公開されていた。これによると、そもそもHPVは男女関係なく感染するウイルスで、感染したHPVが体内に残ると男性でも性器の疾患や陰茎がん、咽喉がん、肛門がんリスクが高まると警告している。しみけんさんのツイートは正しかったのだ。

   CDCは「男性のHPV感染に関連したがん発症率は女性ほど多くはない」としつつ、HIVなどに感染して免疫力が低下している男性やアナルセックスを行う男性は高リスクであるとし、

「11~12歳のすべての男児、26歳までのゲイやバイセクシュアルの男性、若年時に予防接種を受けなかった21歳までの男性はHPVワクチン接種が推奨される」

   と明言している。

 

   米国だけでなくカナダや豪州、英国でも同様だ。英国は2017年7月1日に45歳以下のゲイやバイセクシュアルの男性にHPVワクチンを提供するプログラムが開始され、英保健省が

「(子宮頸がん患者減少という)大きな成功をおさめた女性向けのHPVワクチン接種から漏れ、健康上の利益を受けていなかった男性にもようやくワクチンを提供できる」

と公式声明を発表している。日本では男児への接種は公的には推奨されていないが、女性のみの接種に法律などで限定されているわけでもない。希望すれば接種できるようだ。

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