高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ
「ゆがめられた行政」の正体 文科省が出していた「非常識」告示

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「門前払い」だったのが「申請してもいい」となっただけ

   この特例は、あくまで設置認可の申請をしていいというだけだ。もちろん、認可制度がある以上、認可されるかどうかは別である。

   これで分かっただろう。前川氏のいう「行政がゆがめられた」というのは、認可申請において、「門前払い」だったのが「申請してもいい」となっただけだ。最終的な大学の設置認可権限は文科省が手放すはずがない。この「特例」に基づき、申請した後は、文科省により審査が行われて、それにパスすれば、設置が認可されることとなる。

   今、前川氏を好意的に扱っているマスコミは、前川氏のいう「行政がゆがめられた」を正しく報道していない。行政の元になっている文科省告示は、下手をすると、法律違反になりかねない。これが文科省レベルで発出できる告示ではなく、それより上位にある政府が出す政令であれば、法制局は認めないはずだ。相手が大学で規制の枠内で文科省が与しやすいところだからこそ、こうした非常識な告示が出せたのだろう。この門前払いの文科省告示こそ、文科省のゆがんだ行政である。ゆがんだ告示の特例を作ったので、加戸氏が「ゆがめられた行政が正された」と言うのは、もっともである。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「大手新聞・テレビが報道できない『官僚』の真実」(SB新書)など。


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