スマートフォン(スマホ)などを販売する際、顧客に契約内容を十分に説明していないなどとして、総務省は2017年6月28日、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社に対し、改善を求める行政指導を行った。携帯電話販売店に客を装って覆面調査員を派遣し、利用者への説明実施状況を確認したところ、不備がみつかったという。携帯電話などの契約は、自動更新の仕組みや解約時の費用など分かりにくい点が多いのが現状。販売員の質の向上が求められている。
覆面調査員を使った大規模な調査を行ったのは、2016年5月、消費者保護ルールを充実・強化する改正電気通信事業法が施行されたことがきっかけ。17年1月から無作為に選定した各社の販売店で100回ずつ計約300回実施した。総務省に委託された民間調査員が、利用者に扮して販売員から説明を受け、契約締結の署名を求められた時にサインせずに手続きを中断。あらかじめ設定した設問に答える形で、説明が適切だったかなどを記録した。販売店側には総務省の調査だと伝えていない。
契約後8日以内の解除の申し出比率
自由記述欄(複数選択)では「分かりやすかった」49%▽「好感が持てた」38%▽「タブレットなどを使った説明方法が分かりやすい」16%――などと肯定的な記述が上位を占め、「説明が理解できない」8%▽「不安を感じた」5%など、肯定的ではない記述は少なかった。
しかし、個別にみていくと様相は一変する。「料金プランについて、契約期間拘束・自動更新付き以外の選択肢の紹介が全くなかった」が68%▽「期間拘束・自動更新の仕組みが適切に説明されなかった」66%▽「解約時に生じる各種の費用について、個別の解約費用の十分な説明がなかった」のは51%▽「自宅などで電波状況が良くない場合や、説明などが不十分な場合は、契約後8日間は端末を含めて解約・返品できることについて、適切な説明がなかった」のは79%――に上った。
これに関連し、契約後8日以内の解除の申し出比率を総務省が調べたところ、ドコモは他社の「100分の1」~「60分の1」と極端に少なかった。申し出を受けて実際に解約に至った比率も、他2社の半分以下にとどまっていることが判明した。