「なんでこれが依存症対策なのか」
ところが発表された改正案には、厳しい反応が目立つ。
「出なかったらやめる人はそもそも依存症なんかじゃないし、負け分を取り返すため出るまで続けようとするのが依存症で逆効果なのでは」
「排出率が辛くなっても、やめないヒトは(※編注:スマートフォン向けゲームなどの)ガチャをやめない。その理屈、まだ『エライひと』には理解できないんだろうかねえ...」
「依存症が分かってない、勝てないと思って打ったことは無いww」
ツイッターには、こうした声が相次いで書き込まれる。
自身、依存症の当事者としてこの問題に取り組み、『ギャンブル依存症』(角川新書)などの著書がある前述の田中さんは、J-CASTニュースの電話取材に、「なんでこれが『依存症対策』なのか」と怒りを隠さない。
確かにこの対策で、パチンコ店から足が遠のく人は出るかもしれないが、それは「依存症」ではない「普通の人」だ。すでに依存症となってしまった人は、出玉が規制されても、「コツコツやればいつかは取り戻せる」とパチンコから離れず、結果的に店は依存症者ばかりに。かえって状況の悪化を招く――というのが田中さんの見立てであり、「当事者である私たちから見たら、『トンチンカン』な対策です」と断ずる。
田中さんはむしろ、パチンコで「使うお金」に規制をかける方が有効であると論じる。実際に、ノルウェーではこの限度額システムの導入により、依存症患者を減らすことに成功した。
「ギャンブル依存症は病気と同じで、どれだけ『予防』しても完全に防ぐことはできません。優先順位を考えれば、今苦しんでいる人をどうやって救出するかという話が先でしょう」
改正案は警察庁のウェブサイトなどで公開されており、8月9日までパブリックコメントを受け付けている。