欧州産ワインが安くなる! 人気のチリ産に「日本産」とワイン戦争勃発か?

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   日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉が大枠で合意したことで、欧州産のワインやチーズ、パスタなどの輸入関税が撤廃もしくは軽減される。2019年初めの発効を目指すとされる。

   欧州からの輸入品が事実上の値下げとなるため、消費者にとってはうれしい。そうしたなか、早くも売れ筋に変化が見られるのではないか、と注目されている市場がある。「ワイン」だ。

  • EPAで、欧州産ワインが安くなる……
    EPAで、欧州産ワインが安くなる……
  • EPAで、欧州産ワインが安くなる……

国内のワイン消費量は右肩上がり

   2017年7月6日、日本とEUとのEPA交渉が合意したことで、現行で輸入価格の「15%もしくは1リットルあたり125円の安いほう」が適用されているワインの関税が、即時撤廃されることになった。EPAが発効されれば、一般的なボトル(750ミリリットル)で、最大約93円の関税がなくなり、販売価格に反映されることになる。

   欧州産ワインには、本場のフランスをはじめ、そのフランスに匹敵する生産量を誇り、ピエモンテ、ヴェネト、トスカーナなどの醸造地を抱えるイタリア、冬季のホットワイン、「グリューワイン」が飲まれるドイツが有名だが、こうした産地のワインが早ければ、2019年にも今よりも安い価格で手に入るようになり、また品ぞろえも増えるとの見通し。EPAは「ワイン好き」の消費者に、大歓迎されているようだ。

   さっそく、インターネットの掲示板などには、

「即刻撤廃してください」
 「安いワイン最高や。つまみのチーズも安くなって万々歳や!」
 「ブルゴーニュは高いからな。ちっとは安くなるんかなあ」
 「今でもスペイン産は安いけどなw」

といった声であふれている。

   ワインの国内消費数量は、4年連続で過去最高を更新する好調ぶり。2015年の伸長率は、前年比5.6%増と、14年の伸び率(前年比5.5%増)を上回ったほか、1998年頃の第6次ワインブームの消費数量を超えて拡大中。15年の人口1人当たりの消費数量は、ワインボトルで約4本と10年前の1.6倍にもなる(国税庁調査をもとにメルシャンが推計)。

   国際的にみると、2015年の日本の1人当たりの年間ワイン消費量は3.2リットルで、ポルトガルの54.0リットルやフランスの51.8リットル(O.I.V.=国際ワイン・ブドウ機構の統計)など、世界各国と比べると消費量は依然として少ないものの、「日本の消費数量は着実に伸長しており、今後さらにワインの日常化が進んでいくと予測されます」(メルシャン)としている。

伝統の欧州産VS激安のチリ産VS高品質の日本ワイン

   そんな日本のワイン市場で、最近の売れ筋は、なんといっても「チリ産」だ。メルシャンによると、国別輸入数量でチリ産ワインは、2016年は2年連続の第1位で、10年前の約6.3倍と大きく伸びた。輸入ワイン全体に占める割合も、チリ産は29.3%を占め、15年から1.5ポイントも増えた。

   チリ産ワインは「安さ」が魅力だが、最近は中高価格帯まで幅広いラインアップがあり、メルシャンが販売している「カッシェロ・デル・ディアブロ」は、「チリ産ワインの中高価格帯として1000円以上や、2000円以上の商品を増やしています」という。2016年は前年比45%増、また「プードゥ」は92%増と絶好調の売れ行きで、「今後も日本のワイン市場で存在感を増すことが予想されます」とみている。

   また、国産ワインも活況。2015年の国産ワインの消費数量は前年と比べて4.2%増と伸長。第6次ワインブーム後の1999年以来16年ぶりに11万キロリットルを超え、11万360キロリットル(国税庁調べ)となった。

   「無添加」や「機能系」の拡大に加えて、国内で収穫したブドウだけを使って醸造した「日本ワイン」の品質向上が人気を後押し。2017年は、山梨県でワインづくりが始まって140年を迎えることもある。

   伝統的な味わいの欧州産か、安くておいしいチリ産か、高品質の日本ワインか――。ワイン好きにはうれしい悲鳴といえそうだが、インターネットには

「チリワイン、安いうえに旨いんだから最強だろw」
「ボトル100円安くなっても、フランス産がチリに勝つのは難しいと思うよ」
「うれしい。ボジョレーに期待したい!」
「最近、『日本ワイン』が欧米でも飲まれてるって聞いたけど、日本から輸出するワインももっと売れるってことかな?」
「1000円出せば、国産飲めますよ。毎晩1本。安くて美味いです!」

といった声が。

   メルシャンの代野照幸社長は、「関税が撤廃されることで、日本のワイン市場全体が広がる可能性があるのは好ましいこと。ただ、その半面、中小ワイナリーへの影響が懸念されます」という。そのうえで、「当社は引き続き、ぶどう畑の拡大や日本ワインならではの繊細で洗練された味わいの高品質なワインを造り、国内外の評価を高めていきたい」とコメントした。

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