伝統の欧州産VS激安のチリ産VS高品質の日本ワイン
そんな日本のワイン市場で、最近の売れ筋は、なんといっても「チリ産」だ。メルシャンによると、国別輸入数量でチリ産ワインは、2016年は2年連続の第1位で、10年前の約6.3倍と大きく伸びた。輸入ワイン全体に占める割合も、チリ産は29.3%を占め、15年から1.5ポイントも増えた。
チリ産ワインは「安さ」が魅力だが、最近は中高価格帯まで幅広いラインアップがあり、メルシャンが販売している「カッシェロ・デル・ディアブロ」は、「チリ産ワインの中高価格帯として1000円以上や、2000円以上の商品を増やしています」という。2016年は前年比45%増、また「プードゥ」は92%増と絶好調の売れ行きで、「今後も日本のワイン市場で存在感を増すことが予想されます」とみている。
また、国産ワインも活況。2015年の国産ワインの消費数量は前年と比べて4.2%増と伸長。第6次ワインブーム後の1999年以来16年ぶりに11万キロリットルを超え、11万360キロリットル(国税庁調べ)となった。
「無添加」や「機能系」の拡大に加えて、国内で収穫したブドウだけを使って醸造した「日本ワイン」の品質向上が人気を後押し。2017年は、山梨県でワインづくりが始まって140年を迎えることもある。
伝統的な味わいの欧州産か、安くておいしいチリ産か、高品質の日本ワインか――。ワイン好きにはうれしい悲鳴といえそうだが、インターネットには
「チリワイン、安いうえに旨いんだから最強だろw」
「ボトル100円安くなっても、フランス産がチリに勝つのは難しいと思うよ」
「うれしい。ボジョレーに期待したい!」
「最近、『日本ワイン』が欧米でも飲まれてるって聞いたけど、日本から輸出するワインももっと売れるってことかな?」
「1000円出せば、国産飲めますよ。毎晩1本。安くて美味いです!」
といった声が。
メルシャンの代野照幸社長は、「関税が撤廃されることで、日本のワイン市場全体が広がる可能性があるのは好ましいこと。ただ、その半面、中小ワイナリーへの影響が懸念されます」という。そのうえで、「当社は引き続き、ぶどう畑の拡大や日本ワインならではの繊細で洗練された味わいの高品質なワインを造り、国内外の評価を高めていきたい」とコメントした。