「美容医療でクーリングオフ」閣議決定
国民生活センターのウェブサイトに掲載されている「危害に関する相談」をいくつか紹介する。
「美容外科でシミ取りレーザー治療を受けた。数日後、水ぶくれになった後、痕が残り、人前に出られず困っている」
「鼻筋を際立たせるため美容外科で注入充填剤を注射したところ、顔面が麻痺し口の端が動かなくなった。補償を求めたい」
「美容外科クリニックで顔のリフトアップ手術と二重まぶた手術を受けたが、顔全体が内出血をおこし腫れが引かず仕事に支障が出た。二重まぶた手術も糸がはみ出したままだが、医師は『失敗ではない』と言う。返金してほしい」
事例で多く見られたのは、二重まぶたやしみ取り、鼻を高くするといった、いわゆる「プチ整形」だ。レーザー治療や注射といった短時間の施術とはいえ、ミスが生じれば深刻な事態になることが分かる。ほかにも、全身の脂肪溶解や全身脱毛といったケースもあった。ほとんどが返金や補償を求め、治療中の人は中途解約して全額返金してほしいと望んでいた。
政府は2017年6月27日、美容医療でも一定期間に無条件で契約を解除できるクーリングオフを可能とする特定商取引法の政令改正を閣議決定した。朝日新聞ほか複数の報道によると対象となるサービスは、(1)脱毛、(2)にきび・しみなどの除去、(3)しわ、たるみ軽減、(4)脂肪溶解、(5)歯の漂白。契約期間が1か月を超え、5万円を超える施術の場合にクーリングオフや中途解約ができる。今年12月1日から施行される。悪質な美容医療に対して、消費者保護の動きが出始めた。