朝日新聞が「不注意」見出し 大雨「救助タグ」効果を一時阻害

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   九州地方の大雨被害を受け、ツイッター上には「♯救助」のハッシュタグを付けたつぶやきが相次いで寄せられた。このハッシュタグは、Twitter Japan社(東京都中央区)が、救助を求める投稿を発見しやすくするために使用を推奨しているものだ。

   だが、今回の大雨被害を報じたメディアの一部が、「♯救助」という言葉を見出しにとった記事を配信した。こうした記事がツイッター上で拡散されたことにより、純粋に救助を求めるツイートが「埋もれてしまう」現象が起きた。

  • 朝日新聞の「♯救助」見出し。現在はすでに変更されている(画像はWeb Archiveより)
    朝日新聞の「♯救助」見出し。現在はすでに変更されている(画像はWeb Archiveより)
  • 朝日新聞の「♯救助」見出し。現在はすでに変更されている(画像はWeb Archiveより)

「メディアが混乱させてる」

 

   2017年7月5日に九州北部を襲った大雨の影響で、福岡と大分の両県では河川の氾濫や土砂崩れが相次いだ。さらには、冠水被害によって身動きがとれなくなったとして、「♯救助」タグを付けたツイッター投稿を通じて救援を求める動きも出ていた。

   そんな中、朝日新聞(ウェブ版)は7月6日未明、

「ツイッターに救助要請相次ぐ 可能なら『♯救助』つけて」

と題した記事を配信した。その後、朝日新聞公式ツイッターアカウントも、見出し付きで記事を紹介するツイートを投稿していた(すでに削除済み)。

   この朝日新聞の記事では、ツイッター社の公式サイトの記述を引用し、救助要請ツイートを投稿する際の注意点をまとめている。その中では、投稿時に「できれば、ハッシュタグ #救助 をつける」という記述も紹介していた。

   だが、こうした記事が、逆に「♯救助」タグの効果を減少させてしまった。この記事がツイッター上で拡散されたことで、「♯救助」タグの検索欄に、記事をリツイートした一般ユーザーのつぶやきが表示されるようになったのだ。

   記事の配信先であるポータルサイトの影響も含め、結果として、純粋に救助を求める意図で投稿した「♯救助」付きのつぶやきが、記事に関連するツイートによって埋もれ、6日朝現在では見つけにくい状況となってしまった。これに対しツイッター上では、

「朝日新聞デジタルの記事がRT(=リツイート)され過ぎで肝心の救助ツイートが検索しにくい」
「タグ検索してもこの記事で埋め尽くされてる」
「災害時にメディアが混乱させてるってあり得ない」
 

などと問題視する声が出た。

朝日新聞「今後さらに留意する」

 

   こうした状況を受け、朝日新聞は配信後ほどなくして記事の見出しを「ツイッターに救助要請相次ぐ ハッシュタグが有効」に変更し、「♯救助」の記述を削除した。こうした対応を取った理由について、朝日新聞社広報部は7月6日のJ-CASTニュースの取材に、

「記事は6日午前0時40分ごろに配信しましたが、午前3時半過ぎに見出しのつけ方に関するツイートに気づいたため、変更して配信しました。記事によって実際の救助に影響がでたかどうかは、弊社として把握しておりません。災害報道の見出しについては、今後さらに留意するようにいたします」

と回答した。

   見出しを変更する前の記事を紹介した公式アカウントのツイートも、変更にあわせて削除したという。

NHKツイートには「さすが」の声

   今回の問題について、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は6日午後のJ-CASTニュースの取材に対し、

「決して、朝日新聞などに悪意があったわけではないでしょう。ですが、社会的責任の大きい媒体として、本当に『♯救助』としてもよいのか、一度立ち止まって考えるべきでした。今回の場合は、『ハッシュタグ救助』とするなどの配慮が必要だったと思います」

と話す。

 

   また、今回のケースでは、メディアだけではなく一般のユーザーが注意喚起の目的で「♯救助」とツイートする例も多かった。この点について井上氏は、

「何でも『拡散』すればいいという訳ではありません。第三者による善意の押し売りが、本当に困っている当事者にとって迷惑な行為となる場合もあります。だからこそ、個人であっても、自分のツイートが与える影響を投稿の前に一度立ち止まって考えることが大事だと思います」

としていた。

 

   ちなみに、今回の救助要請ツイート投稿時の注意喚起について、NHKの「生活・防災」公式アカウントは、「ハッシュタグ シャープ救助」と表記した上で、「むやみなリツイートは控えましょう」と呼び掛けていた。こうした配慮のあるツイートに対し、ネット上では、

「NHKのツイートは流石だな」
「さすがと感心した」

と称賛する声が出ていた。

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