感動実話!猫が認知症の犬を介護する! ワンコが認知症になった時の向き合い方

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   ペットの高齢化につれ、歳をとったワンコが増えている。これらのワンちゃんの中には人間の認知症と同じ症状が見られることがあり、老犬の介護が飼い主にとって大きな問題となってきた。

   わが家のワンコが認知症になったらどう向き合えばいいのだろうか。折しも、認知症の犬を同じ家の猫が介護するという種族を超えたペット同士の感動動画が話題になったが......。人間は猫を超えることができるか、ニャンちゃって!

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17歳ワンコ「しのちゃん」を支える6歳猫「くう君」

   2017年5月17日放送のフジテレビ系情報番組「直撃LIVEグッディ!」では、動物の種を超えた感動ストーリーが、日本中の涙を誘った。主人公は、広島県のある家庭で同居している犬の「しのちゃん」(17歳メス)と、猫の「くう君」(6歳オス)の2匹。ともに6年ほど前、野良犬と迷い猫だったワンコとニャンコだが、飼い主さんに相次いで拾われた仲だ。

   2匹は仲が良かったが、2年前、悲劇に襲われた。「しのちゃん」が認知症を発症したのだ。「しのちゃん」は歩くこともままならなくなり、ヨボヨボと倒れ込むことも。すると、「くう君」の献身的な介護が始まった。「しのちゃん」が歩く前に先回りし、倒れそうになると、背中を「しのちゃん」の体の下に入れ支えてあげる。夜寝る時は、「しのちゃん」の頭が枕からはずれると、おでこをグイグイ押して元に戻してあげる。「しのちゃん」のお腹に顔を寄せて、抱きかかえるように一緒に眠る。四六時中介護を続けている。「しのちゃん」の調子が悪そうだと、「にゃ~、にゃ~」と飼い主のところに飛んできて、様子を知らせるといった甲斐甲斐しさだ。

MCの安藤優子アナ「(涙笑いの表情で)こんなことってあるのですね! 深~い絆で結ばれているのですね」

   猫でさえ、一緒に暮らすワンコの認知症には心をくだく。まして、人間の飼い主は――。

「深夜、急に家の中を30分間走り回りました」

   女性向けサイト「発言小町」(2015年10月13日付)では、「犬の認知症始まりました」という投稿が多くの愛犬家の共感を集めた。

「推定17歳。保護犬の雑種です。我が家にきて丸15年。昨日深夜、急に家の中を走り出しました。30分くらい走り続け息はゼエゼエ、舌は紫色になり、無理矢理押さえ込むと、疲れからか寝てくれました。走りながら何回も頭を振っていました。自分でもおかしいのが分かり、パニックになったのだと思います。今まで3匹看取りましたが、認知症は初めてです。不安です」

   この投稿には同情とアドバイスが相次いだ。

「病院に連れて行き、相談して下さい。今は良い薬があり、薬で治まるかもしれません。徘徊なら安全確保のためエンドレスケージに入れて下さい。体が丈夫なら押さえて押さえきれません。好きなだけ歩かせ、疲れた頃に鎮静剤を飲ませ寝させてあげるといいです。私の愛犬は17歳で認知症になり、20歳まで生きました。最後は老衰でした」
「柴犬でしたが、最後はしんどかったです。それまで吠えなかったのに、朝晩関係なく吠え出しました。自分で起き上がる事ができないと、その度に吠えるので、私自身昼間も出る事が難しくなりました。大声で吠えるので、周りの家に迷惑になり、夜は本当に困りました。夜中に横で寝かせ、吠えそうになるとトントンして寝かせました。それと、ペットシーツをおむつにして履かせました。身体に沿わせてホチキスで止めました。そうしないと、どこにでも排便排尿をしましたから」
「うちも17歳の柴ちゃんを看取りました。死ぬ半年前に病院に連れて行くと、獣医師さんは一目見るなり『認知症ですね』。症状としては、くるくる回る、後ずさりができず、狭い所に頭を突っ込むと戻れなくなるなどなど。うんちやおしっこも垂れ流しで、それを踏んづけて歩き回るので、掃除が大変でした。祖母を預かった経験から、何だか年をとると犬も人間と同じだなあ~と思い、覚悟を決めました」

高齢犬は5つの「問題行動」をチェック

   では、我が家のワンコが認知症になってしまった場合どうしたらよいのだろうか。愛犬家の情報サイト「ワンペディア」の「高齢になった愛犬の変化、どう向き合うべき?」の中で、東京大学付属動物医療センター行動診察科の菊池亜都子獣医師はこう説明する(要約抜粋)。

「犬の『認知症』などと呼ばれることもありますが、高齢犬は、認知機能低下のあるなしに関係なく、多かれ少なかれ脳が小さくなります。脳の変化は加齢によっても普通に起こることなので、どこからが認知症で、どこからが加齢による正常な変化なのか、という具体的な線引きはハッキリしていません」

   人間の認知症よりも判断が難しいようだ。認知機能が低下すると、以下のような「問題行動」が起こる。

(1)見当識障害になる:よく知っている場所で迷子になる、よく知っている人を認識できない、ドアの蝶番側(外側)に向かう、落ち着きなく歩き回る、障害物を避けられないなど。
(2)コミュニケーションができなくなる:挨拶行動をしなくなる、なでられる・遊ぶことへの興味が低下する、今までできたお座りや伏せ、お手などのコマンド(号令)に反応しなくなる、慣れ親しんだ人や動物を攻撃するようになるなど。
(3)睡眠障害が起こる:日中に寝ていることが増える、夜間に起きていることが増える(夜吠えることも含む)、夜中に目的もなく歩き回るなど。
(4)トイレができなくなる:今までできたトイレでの排泄ができなくなる、睡眠場所で排泄するようになる、排泄場所が変化する、頻繁に失禁するなど。
(5)活動意欲が低下する:活動性や探索行動が低下する、目的もなく歩き回る、過度になめ続ける、食欲が増す/減るなど。

犬に「失敗した」と感じさせない環境づくり

   こうした症状が当てはまると認知症の可能性が高くなるが、残念ながら、人間の認知症と同様、犬の認知症の根本的な治療法はない。進行をできるかぎり遅らせることや、飼い主と犬のストレスを減らし、少しでも快適に過ごせるようにすることが獣医師の目的となる。

   菊池医師が認知症の犬の行動治療で行っている方法を紹介しよう。

(1)犬が安心して過ごすことができる環境づくり:犬は「失敗した」と感じると不安な気持ちになり、症状が悪化するので、できるだけ「失敗した」と感じさせない工夫が必要となる。たとえば次のような配慮を。
□部屋の中から犬の障害物になりそうなものは、可能な限り取り除く。
□犬が混乱するので、部屋の模様替えはやめる。
□水は飲みやすい場所に設置する。
□トイレは行きやすいように作ってあげる。
□居心地の良い寝場所を確保してあげる。
□床には滑り止めを敷いてあげる。
□暖かくてやわらかそうなフワフワしたベッドは、足が弱い犬にとって動きにくく、逆に負担をかける場合があるので注意が必要。

(2)心配だからといって行動を制限しすぎない:障害物を避けられず、壁や椅子にぶつかってケガをする危険があるからといって閉じ込めてしまうと、歩きたくて吠えるケースがあるので、犬がケガをしない運動エリアを作ってあげる。壁となる部分に風呂マットのような、ぶつかっても衝撃を受け止めるものでサークルを作るのがオススメ。小型犬なら家庭用のビニールプールに空気だけを入れ、底に滑り止めのコルクマットなどを敷き詰めるといい。

(3)体と脳に適度な刺激を与える:歩行が可能ならば、リハビリを兼ねて介護用ハーネスを利用した短時間の散歩へ行くとよい。歩行が困難な場合には、カートで外出すると嗅覚・視覚・聴覚を刺激することができる。また、おやつを握り、どっちに入っているかを当てるゲームなど簡単な知的遊びをすると、脳に刺激を与えることができる。 (4)決して叱らないこと:犬の行動にイライラして、叱ったり、叩いたりすることは、余計に犬の不安をあおることになるため、絶対に避ける。

   以上の方法以外にも薬物療法や食餌療法、サプリメントの使用などもあり、それぞれの犬と家庭に合わせた対処法を獣医師と相談しながら進めていく。

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