梅雨のこの時期、湿気の多さに加えて気温が急上昇し、首都圏では早くも日中30度を超すようになった。暑さが本格化するのに合わせて、各地で食中毒の被害が増えている。
富山県では、ヒラメの寄生虫による食中毒が報告された。以前話題となったアニサキスのように、肉眼では確認できないというから厄介だ。
2016年の患者数はアニサキスの倍
J-CASTヘルスケアが富山県生活衛生課に取材したところ、2017年6月24日~25日にかけて砺波市の飲食店で、ヒラメの刺し身を食べた30~80歳代の男性7人、女性11人が食中毒になった。患者は下痢や発熱を訴えたがいずれも軽症で、医療機関を受診した人もいなかった。
原因として特定されたのは、寄生虫「クドア・セプテンプンクタータ」だ。聞き慣れない名かもしれないが、生食用のヒラメに関連する食中毒として近年事例が多い。厚生労働省が発表している食中毒発生状況を調べると、2016年の患者数は259人で、アニサキスの126人の倍以上だ。この年は真冬の時期を除いて、ほぼ毎月のように患者が確認されていた。ただ東京都福祉保健局のウェブサイトによると、8~10月に多いという。これからの時期が要注意だ。
クドアによる食中毒は、食後数時間で一過性のおう吐や下痢を発症するが、たいてい症状は軽い。砺波市の食中毒患者も、7月4日の時点で全員回復している。ただ、クドアは比較的最近になって判明した病因だ。2014年6月15日付の「日経メディカル」電子版には、「2000年頃から報告されるようになった新しい食中毒」で、当時は「謎の食中毒」とされ、2010年にその原因として同定されたとの記述がある。こうした経緯のためか、東京都や奈良県、福井県、島根県のほか、周知徹底のためクドアによる食中毒への注意をウェブサイトで呼びかけている自治体が多い。