北朝鮮の国営朝鮮中央テレビなど国営メディアは2017年7月4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14号」の試験発射に成功したと発表した。北朝鮮がICBM発射成功を主張するのは初めて。
日本政府は、発射されたミサイルがICBMかどうかは「現在慎重に検証中」(菅義偉官房長官)だとしているが、高度は2500キロを大きく超えており、これまでに北朝鮮が発射したミサイルとしては最も高い。北朝鮮は発射成功を主張する発表の中で「世界のどの地域も攻撃できる」などと主張している。
発射6時間後に国営メディアが「成功」発表
日本政府の発表によると、弾道ミサイルは9時39分ごろ、北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近から東方に向けて1発が発射され、約40分間にわたって約900キロを飛行。高度は2500キロを大きく超えた。男鹿半島から約300キロ離れた日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海上に落下したと推定している。
北朝鮮の国営朝鮮中央テレビは15時30分(日本時間)「特別重大報道」として、金正恩委員長が7月3日に大陸間弾道ロケット「火星14」型の試験発射を命じる書類にサインし、試験発射は成功したと報道した。北朝鮮はミサイル発射の成功を発射翌日に国営メディアで発表するのが通例で、発射当日の発表は珍しい。
北朝鮮が5月14日に発射した中距離弾道ミサイル「火星12」型は、日本政府の分析によると、「2000キロを超えた高度に達し、30分程度、約800キロ飛翔」している。「火星12」型からわずか1か月半程度で、高度を大きく伸ばしたことになる。今回の発射も「火星12」型同様、通常よりも角度を上げて高く打ち上げる「ロフテッド軌道」をとっているとみられ、通常の角度で発射した際の航続距離も大幅に伸びているとみられる。北朝鮮は「火星12」型を「中長距離戦略弾道ロケット」と位置付けており、今回の「火星14」型は米国本土まで届きうる「大陸間弾道ロケット」だと主張。飛距離が伸びたことをアピールしている。
「核兵器+ICBM」で「堂々たる核強国」主張
今回の北朝鮮の「国防科学院」の発表では、
「試射は、最大高角発射システムで行われ、周辺諸国の安全にいかなる否定的影響も与えなかった。大陸間弾道ロケットは、頂点高度2802キロまで上昇して933キロの距離を飛行した」
などと主張。北朝鮮を
「核兵器と共に世界のどの地域も攻撃できる最強の大陸間弾道ロケットを保有した堂々たる核強国」
と位置付けて、
「米国の核戦争脅威・恐喝を根源的に終息させて朝鮮半島と地域の平和と安定を頼もしく守っていく」
とした。