将棋の藤井聡太四段(14)の連勝記録が29で止まった2017年7月2日、先月20日に現役を引退した加藤一二三・九段(77)がツイッターで激励のメッセージを送った。
63年もの長きにわたって棋士として勝負の世界を生き、酸いも甘いも噛み分けた加藤九段だからこそ伝えられるエールに、多くの人が感動を覚えているようだ。
「勝負はつねに 負けた地点から」
加藤九段は藤井四段の投了からおよそ1時間後、
「棋士人生はまだまだこれから! いま始まったばかり」
という書き出しで始まるメッセージを自身のツイッターに投稿した。その言葉には、棋士生活を終えたばかりの加藤九段だからこその重みがある。
続けて、勝負の世界を生きていく藤井四段に対し、
「勝負事には、勝ちか負けの二択しかない」
と、厳しい現実を突き付けながらも、
「だからこそ、つねにその先にあるものを見据えて 観る人びとの魂を揺さぶる、後世に残る棋譜を紡いでいただけたらと願う」
と声援を送った。さらに、その次に投稿した
「人生も、将棋も、勝負はつねに 負けた地点からはじまる」
というツイートには、2度の20超連敗を含む歴代最多の1180敗を喫した加藤九段ならではの説得力がある。